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AUTOSAR、車載ECU向け組み込みOS開発で国内二大陣営の対立が鮮明に、本格的な商用化に向けて競争が激化
2015/11/19 19:07
APTJの陣営はこれまで明確になっていなかったが、11月18日にSIerで組み込みソフト開発最大手の富士ソフトが、株式の第三者割当増資を通じてAPTJ陣営への資本参加を正式に表明。年内から年明けにかけて「情報サービス業界や自動車業界などからの複数の出資企業の全容を明らかにできる」(APTJの高田広章会長兼CTO)と、総額で10億円規模の資金調達に道筋をつけていると話す。
対するSCSK陣営は豆蔵やイーソル、ビジネスキューブ・アンド・パートナーズなど組み込みソフト開発に強いベンダー5社とともに、今年10月、AUTOSAR準拠のベーシックソフトウェア(OS)の「QINeS-BSW(クインズビーエスダブリュー)」を製品化。11月18日~20日にかけて横浜で開催している「組込み総合技術展(ET2015)」に大々的に出展して、一足早く本格的に営業活動を展開している。
AUTOSARに準拠したOSの開発には、技術者100人体制で数年かかるといわれており、APTJの高田会長の概算では、「少なくとも今の倍の資金」に相当するおよそ20億円が必要だとみている。APTJは今回の資金調達は“第一弾”と位置づけ、今後も開発の進捗に合わせて、出資会社を中心に技術者を募ったり、製品サポートを富士ソフトをはじめとする協業ベンダーに委託するなどして、「商用ソフトウェアに耐え得るサービスやサポートの水準」を実現していく方針だ。
AUTOSARは、欧州発の車載ECU向けOS仕様であり、欧米やインドのソフト開発ベンダーが先行している。とりわけ欧州の自動車メーカーで車載ECUのOSをAUTOSARで統一していく動きが活発化しており、国内の自動車メーカーも追随する動きがある。車載ECUはこれまで独自OSを使ってきたが、AUTOSAR準拠のオープンなアーキテクチャにすることで、拡張性やコストの削減などを実現し、勢いが増す自動車のIT化で有利に立てるとみられている。
同プロジェクトの意義やAUTOSAR OSの重要性を訴える高田会長
APTJ陣営とSCSK陣営は、ビジネス的には別行動をとっているが、AUTOSARの基礎研究の部分では、リアルタイムOSの研究プロジェクトで、高田教授が会長を務める「TOPPERSプロジェクト」のなかで協業関係にある。人材育成も含めた基礎的な研究部分では協業しつつも、ビジネスの領域ではそれぞれ「よりよい製品開発を目指して切磋琢磨し、最終的には先行する海外のAUTOSAR開発ベンダーに追いつき、追い越していく」(高田会長)ことを目指す。
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