バックアップソフトウェアの専業メーカー、Arcserve Japan(江黒研太郎社長)は、2014年10月1日の設立から約1年が経過した。業績、市場シェアともに拡大している。売り上げが前年同期比で600%増と大幅に成長。Windowsプラットフォームにおける国内バックアップソフトウェア市場シェアは、14年時点で52.7%(ミック研究所調べ)とトップシェアを維持している。今後は、人員増や販社向けの支援強化によって、今の勢いを継続していく。
江黒研太郎社長 米CA Technologies(CA)がエンタープライズ(大企業)向け製品・ソリューションを中核ビジネスと位置づけ、その分野に投資を集中するという戦略を打ち出して、バックアップ製品「Arcserve」の開発・販売を手がけるデータ保護事業の売却を決断。投資会社の米Marlin Equity Partnersに事業を譲渡し、その支援を受けて独立した米Arcserve。その後、日本法人のArcserve Japanを設立することになったわけだが、売却という言葉には不採算事業を整理する印象がつきまとうため、設立当初は独立したことによって、ビジネスが縮小するのではないかという見方が一部ではあった。しかし、Arcserve製品は独立前の13年に売り上げが前年と比べて二桁成長を達成するなど、CAの製品・サービスのなかで収益率が高かった。順調に拡大する事業をCAが手放したのは、ArcserveがSMB(中堅・中小企業)を対象に100%の間接販売というビジネスモデルだったからだ。江黒社長は、「CAにとっては一つの方向性に固めることができるというメリットがあり、当社にとっては他の事業部門とのしがらみがなくなった分、独立後はスムーズにビジネスを手がけることができた」とアピールする。
ビジネス拡大に向けて、独立後にArcserve Japanが力を注いだのは人員の増強だ。とくにサポートエンジニアを増やして、販社からの問い合わせに迅速に対応。加えて、「Arcserveジャパンダイレクト」という窓口を設置して、1時間以内に回答する体制を整えた。これによって、「他社と比べてサポートに対する満足度が向上した」としている。
今後は、日本のハードウェアメーカーとアライアンスを組んでアプライアンスの発売を計画しているほか、2次店としてMSPを獲得してクラウドサービスの提供拡大も狙っている。これによって、「今年度(16年3月期)の売上成長率として二桁後半は固い」と断言している。(佐相彰彦)