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アリババ 「2015 杭州・雲栖大会」で2万人を集客 クラウド部門の新商材を続々と発表
2015/10/29 19:04
週刊BCN 2015年10月26日vol.1601掲載
「雲栖大会」は、アリババグループが2009年から年次で開催しているクラウド部門の最大イベントだ。主に「阿里雲(AliCloud)」の開発者や、起業家などのユーザーを対象としている。今年は、中国国内外から約2万人が参加し、過去最大の賑わいをみせた。初回の参加者が約400人だったことを考慮すれば、この6年間で「AliCloud」の影響力が急速に強まっていることになる。実際、アリババグループの2015年度(16年3月期)第1四半期決算では、「AliCloud」を含むクラウド・ITインフラ事業の売上高は、前年比106%増の7800万米ドルと急拡大している。
馬雲会長は起業家を激励
また、マー会長は、アリババグループが提唱するITトレンド、DT(データ・テクノロジー)時代について持論を展開。「IT時代に誕生したのが“製造”だとしたら、DT時代に誕生するのは“創造”だ。IT時代に誕生したのが“知識”であれば、DT時代に誕生するのは“智慧”だ。そして、DT時代にはコンピューティング能力が(人々にとっての)脳になる」とした。
中国経済の見通しについては、「経済成長率が9%から7%に低下し、さらに5%になったとしても、依然として中国は全世界の4大発展市場だ」と説明。そのうえで、今後の経済成長が内需によってもたらされる部分が大きいことを解説し、「われわれは、新しい技術やクラウドを使って内需を刺激する。今後20年間、中国は本当の内需時代に突入し、起業家に莫大なチャンスが訪れるだろう」と話した。
商材とパートナー連携を強化
イベントでは、多数の新たな発表も行われた。例えば、アリババグループと富士康科技集団(フォックスコン)は、共同で提供する起業家支援サービス「陶富成真」を発表。これは、ハード機器を手がける中国のベンチャー企業に対して、創業支援やクラウドサービス、ECチャネル構築、生産支援などの一連のサービスを提供するもの。フォックスコンは、製品のデザイン開発やサプライチェーン、製品の生産などを担当し、アリババグループはクラウドサービスやビッグデータ分析基盤、インターネット販売チャネルなどを提供する。ベンチャー企業は、自前で生産設備やチャネル構築などの手間・コストをかけることなく、アイデアさえあれば、迅速にビジネスを立ち上げることができる。先行して今年3月にサービスを開始し、すでに120社の製品開発を実際に支援した実績があるという。また、阿里雲計算と中国科学院(CAC)は、共同で次世代の暗号通信技術である「量子暗号通信」を研究開発することを発表。実用化後は、クラウドサービス「AliCloud」上で実装する予定だという。実現すれば、ユーザーは従来以上にセキュリティを強化してデータのやり取りができる。
さらに、イベントでは「AliCloud」の強化ポイントも明らかにされた。人工知能サービス「DT PAI」や大規模データ処理「E-MapReduce」、ハイブリッドクラウドソリューション、IoTソリューションなど、15の新商材をリリースする。アリババグループでは、今年7月にクラウド部門に対する10億米ドルの追加投資を発表しており、サービスやパートナーとの連携を強化することで、グローバルのクラウドベンダーに肩を並べようとしている。
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