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中国・長春でサービス貿易大会開催、対日サービス市場に熱い視線
2015/08/28 19:03
大会の運営を取り仕切る中国サービス貿易協会の仲沢宇・副秘書長は、「かつて、製品で最も重要なのは価格と機能だったが、今はデザインやアフターサポートなど、無形の価値がより重視されるようになっている。工業の時代からサービスの時代に移り変わった」と指摘し、中国政府もサービス産業の振興には戦略的に力を入れていると説明した。
中国東北部は、地理的に近い日本ともかかわりが深く、古くから日系企業の進出が盛んなほか、日本からソフトウエア開発などの仕事を受託するITサービス企業も多い。今大会では、ITを中心としたサービスアウトソーシング産業の誘致・活性化に関する分科会や、長春市の投資促進策に関する日系企業を対象にした説明会なども開催され、日本からの投資・受注に関する現地企業や行政の関心の高さがうかがわれた。
一方、円安や人件費高騰など、中国企業が海外からサービスを受託するには逆風となる経済環境が続いている。広東外語外貿大学の林吉双・教授は「アウトソーシング産業が高騰するコストをまかなうには、3次、4次請けの“従属型”から、市場で自ら顧客をみつける“関係型”、委託側・受託側が対等な関係の“戦略型”に転換する必要がある」と指摘。オフショア開発支援、事業コンサルティングなどを行う長春斯納欧ソフトウエアの青井孝敏・高級顧問も「プログラミングだけでなく、設計工程から対応できるSEの育成が必要。長春は日本語を話せる人材が多く、下流工程から上流工程への事業転換は3年程度で可能」と述べ、厳しい状況下ではあるが、北京や上海に比べるとまだコスト競争力がある今のうちに、中国東北部の企業はより生産性の高い形態に事業を変革することが必要とアドバイスした。
また、中国ではこの先少子高齢化が急速に進行することが確実となっており、高齢者介護が重大な社会的課題の一つとなっている。大会の開会式典に登壇した中国サービス貿易協会専門家委員会の李国栄・副理事長は例として山西省を挙げ、介護サービスの現状について説明。同省では介護がまだ産業として十分な規模に育っていないが、「介護サービスは公益事業であると同時に、ビジネスチャンスでもある」とし、「介護従事者の育成、介護施設の建設などに政府系投資企業が資金を供給している」と話した。今大会では、介護・ヘルスケアがITと並んで今後有望なサービス産業に位置づけられており、福祉水準の向上と経済の活性化を同時に図る政府の取り組みがアピールされた。
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