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スマコミ、産官学で知恵絞れ、山梨ICT&コンタクト支援センターが甲斐市でフォーラム
2015/07/21 19:03
同フォーラムは、高齢者ケアや農業、食料、健康づくり、環境、エネルギーなどの地域の課題に対し、産官学民の連携で解決を目指す目的で開催している。今回は、県内外からIT、農業、医療、環境などの企業関係者ら約50人が参加した。
地域の活動を紹介するセッションでは、まず、関東経済産業局資源エネルギー環境部の高橋一夫・地域エネルギー振興企画官が登壇。「スマートコミュニティの実現に向けた取り組み~関東スマコミ連携体~」と題し、関東地区の事例を紹介した。
経済産業省は、横浜市などでスマートコミュニティについて、4大地域実証を過去5年に渡り行ってきた。企業の技術がスマートコミュニティに実装し、自治体を中心に地域活性化を目指し導入を支援している。「ICT基盤を作りエネルギーだけでなく、地域全体をスマート化するのが目的だ」(高橋企画官)と述べた。
関東スマコミ連携体では、昨年2月から80自治体が参加。セミナーや勉強会を続け、自治体職員や企業などへ説明をしてきた。「付加価値創出型のビジネスモデルを創造することで地域課題の解決につながる。財政当局側でも財政出動することが可能になる」(高橋企画官)とし、横浜市で温暖化対策統括本部を設けて積極に事業推進した事例などを紹介した。
同連携体の活動としては、セミナーや勉強会を通じ出てきたアイデアのマッチングの場を昨年11月に開いている。21社の企業から自治体や企業へアイデアを提案し、スマコミの実現を目指したという。高橋企画官は「この活動を通し、横浜市と富士市が連携協定を締結した。徴税プロセスなど、実証実験のノウハウを共有する取り組みができた」と語った。
続けて、星薬科大学生命科学先導研究所の塩田清二主任教授が「統合医療と健康長寿」について、取り組みを紹介した。神経科学にもとづき健康で認知症にならずに長寿を実現する方法を指南した。
高齢社会白書によると、認知症の患者は、2015年で250万人、2030年に350万人に達するという。塩田主任教授は、「超高齢化社会が進むと同時に認知症も増えている。健康で長生きすることが難しいのが現在の状況。認知症にならずにすごすことは大きな課題だ」と、日本の高齢化社会の問題点を説明した。
では、どうすべきか。そこで「統合医療」の普及の必要性について解説した。現在の病院は、「患者の目を見ずに治療している」(塩田主任教授)という一方、統合医療は「患者中心の医療で、心も問題を含めトータルで治療し、予防や健康維持など補完・代替療法に関する医療を行う」(同)と、現代医学だけでなくサプリメントや漢方などを含め統合的に治療する意義を解説し、国も統合医療の研究を開始していると語った。
補完・代替医療として塩田主任教授は、代表例としてアロマセラピーを紹介した。「日本では1980年代に入ってきたが、エステブームの中で浸透したが問題が多く、いまは医療関係者が科学的知見を深めている。アロマセラピーの効果で前頭葉が活性化することなどは知られている」と、認知症患者の認知機能の改善が進む実証結果などを紹介しつつ、アロマセラピーの効用を説明し「においで認知症を減らせる」とした。
このあと、場所を甲府市内のホテルに移し、山梨県内の関係者と首都圏を含めたIT関係者らで懇親をもったほか、翌日は地元の農場見学などを行った。
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