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インテル、NFV実現に向けてネットワークの世界でもオープン化を推進
2015/06/02 18:59
IoT(Internet of Things)ビジネスの拡大によって、今後数年でインターネットに接続される機器の数が飛躍的に増大するといわれており、インテルでは接続型機器の需要について「2020年に500億台以上」という予想を立てている。平野氏は「向こう5年をみると、今と同じ価格で、ネットワークのインフラを10倍の性能へ上げることにチャレンジしなければいけないだろう」と述べ、来るIoT時代に対応するためには、コストや消費電力に与える影響を最小限に抑えながら、現在よりも遥かに高いパフォーマンスをもったネットワークを今後5年で構築する必要があると指摘した。
また、専用機器で構成するネットワークでは「新しいサービスのためにネットワーク機器を設置・セットアップしていると、立ち上げに1か月、2か月かかってしまう。エンタープライズ系では負荷のピークに備えて、ものすごく余裕をもってデータセンターを運用している」(平野氏)といったようにスピードとコストの両面で無駄が大きく、この点で仮想化技術を用いた効率化の余地が大きいと説明した。
インテルはCPUとそれを動作させるプラットフォームを提供しているが、それに加えて、「CPU、メモリ、I/Oなどのリソースを細分化し、アプリケーション側の需要に応じてリソースを自動的に割り当てる基盤技術」の開発にも取り組んでいると平野氏は話す。コンピューティングの世界ではこのような取り組みは進んでいるが、通信事業者の要求にも応えられる性能・信頼性をもつネットワークにNFVやSDN(Software Defined Network)を適用する試みはまだ始まったばかり。インテルではNFV/SDNの基盤をつくるために多くのプロジェクトを走らせているという。
平野氏は「せっかくいい通信インフラを構築しても、エコスシステム、ビジネスがないと“ただの箱”になってしまう」と指摘し、NFV/SDNの実現においては、技術開発に加えて、パートナー各社とのエコシステム構築、接続性や互換性を担保するための標準化、そして新しいビジネスの創出という要素をいずれも重視する方針を説明。同社では、「ネットワーク・ビルダーズ・プログラム」と呼ぶパートナープログラムを用意しており、ネットワーク性能を最適化するためのツール「データ・プレーン開発キット(DPDK)」の提供や、パートナー各社間での共同実験などを実施している。プログラム参加企業の数は今年度末に175社まで増える予定という。
講演の結びで平野氏は、「2015年はNFV/SDNに移行する最初の年だと考えている。クラウド、IoT、ビッグデータといった技術も実用段階に入っている」と述べ、新しいアーキテクチャのネットワークを用いたビジネスが立ち上がるのが今のタイミングであるとし、ネットワークの世界でもオープン化の推進とパートナーシップの構築に力を入れていく考えを強調した。
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