ニュース
米IBMの年次イベント「PWLC 2015」、新たなビジョンを実践する年、ソリューション提案へのシフトを支援するパートナー施策
2015/02/12 18:55
エコシステムの構成も変化
10日午前中のゼネラルセッションの冒頭では、米IBMのパートナー戦略全般を担当するグローバル・ビジネス・パートナーズのマーク・デュパキエGM(ゼネラル・マネージャー)が登壇し、「今回のPWLCには、89か国から950社が参加してくれた。昨年を超える規模であり、360社620人が初めて参加してくれたし、15か国から新たな参加者が来てくれている」と、参加者を歓迎しつつ盛況ぶりを強調。日本からは昨年の40社79人とほぼ同規模の39社83人が参加している。さらに、新たなパートナー施策とパートナーエコシステムの最新状況を発表し、会場の関心を集めた。デュパキエGMが提示したのは、「The One Channel Team」という施策だ。これまで米IBMは、ハードウェア、ソフトウェアなど四つの事業別に縦割りでパートナープログラムを運用していた。しかし今回、IBM側のパートナー対応の組織をThe One Channel Teamとして一つに統合。これにより、クラウドやアナリティクスなどの比較的新しい事業領域を含め、パートナーが必要なスキルを横断的に取得し、案件を開拓していくためのサポートをスピーディに展開する体制を整えた。背景には、「箱売り」ではもはや利益を上げ続けることが難しいことを踏まえ、パートナーに対して、エンドユーザーのビジネスの成長に寄与する「ソリューション提案」を中心とするビジネスへの転換を促したいという思惑がある。
パートナーエコシステムの最新状況については、「昨年、IBMは事業戦略を『データ』『クラウド』『エンゲージメント』の三つに、大きくシフトしていくと発表した。その成果として、5000社以上のビジネスパートナーがわれわれとともにビジネスを変革する計画を立て、9500人の新しいパートナーが加わった。そのうち3分の2はソフトウェアを扱っている。さらに、中堅企業向けクラウドサービスのパートナーであるMSP(マネージド・サービス・プロバイダ)は、1700社増えて6800社となった」と説明。これまで強みを発揮してきたハードウェアだけでなく、業界ナンバーワンの網羅的なパートナーエコシステムを構築したとの見解を示した。
デュパキエGMは、ゼネラルセッション後のメディアの取材に対して、「System xの売却でパートナーが減った以上に新しいパートナーが増えている」とも答えており、パートナーの総数が増えているだけでなく、IBMの戦略に沿って構成も着実に変化してきている状況を明らかにした。
今回のPWLCで米IBMは、「Vision to Value」をテーマとして掲げている。デュパキエGMの言葉にもあるとおり、昨年は「データ」「クラウド」「エンゲージメント」を核とする新たなビジョンを発表したが、2015年はこれを実践し、顧客に価値を提案する年と位置づけているわけだ。The One Channel Teamもその動きを加速させるための施策であり、変革に対する米IBMの「本気」の現れとみることができる。(本多和幸)
- 1
関連記事
外資ITの両雄 トップ体制を一新「私たち、“非技術系”に任せろ」
IBM SoftLayerの国内DCが稼働 強み生かせないIBM販社の複雑な心境 大手SIerの参入も刺激に
さよなら、マーティン “異例”の日本IBM社長が残した「実績」は