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ビットアイル SoftLayerとAzureに接続 DCの“ハブ機能”を順次拡充へ
2015/01/22 18:54
週刊BCN 2015年01月19日vol.1563掲載
DC事業者で、自らもクラウドサービスを手がけるビットアイルが、なぜ同業他社との相互接続を加速させるのか。一見すると敵に塩を送るようだが、実は自社のDCの稼働率を高めるビットアイルのしたたかな戦略が透けてみえる。ユーザーの現状に目を向けると、自社の電算室やDCへのハウジング、AWSなどパブリッククラウドの活用など情報システムの運用形態は多様だ。ビットアイルがいくらすぐれたDCを運用していても、こうした多様化するITインフラをすべて自社DCでカバーすることはできないし、効率が悪い。そこでビットアイルは、自社のDCに加えて、主要パブリッククラウドなどと相互接続する“ハブ機能”を拡充することでユーザーニーズを捉える戦略に打って出たのだ。実際、ビットアイルの顧客約680社のうち25%あまりが、ハウジングとクラウドを組み合わせるなど何らかのハイブリッド環境を利用している。
もし、ハブ機能がないDCを使った場合、AWSやSoftLayer、Azureなどの主要サービスとユーザー自身が個別に接続していく必要がある。これに対し、ハブ機能があれば、ユーザーは各サービスに個別に接続する手間が省け、接続するための通信機器やネットワークなどを自前で揃える必要もなくなる。ユーザーにとっての利便性が高まることで「自社のDCを利用してもらえる機会が増える」(大澤崇・プロダクトマーケティング部部長代理)ことが見込めるわけだ。
ビットアイルのDCを活用してサービスを提供しているSIerやISV(ソフト開発ベンダー)からみてもメリットは大きい。例えばSIerの顧客A社がビットアイルDCを使い、顧客B社がAWS、顧客C社がSoftLayerを使っていたとする。SIerはビットアイルコネクトを使うことでA~C社のシステムを横断的に監視し、遠隔での保守が行いやすくなる。また、ビットアイルDCとパブリッククラウドなど複数のサービスを組み合わせつつも論理的な閉じたネットワークのシステムも構築しやすく、セキュリティを高めることができる。
ビットアイルは、ハブの接続先を今後も増やしていく予定で、ハイブリッド環境を利用するユーザーの割合も向こう2~3年で50%余りへと倍増するとみている。(安藤章司)
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