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「クラウドはまだ高い!」第2回ITACHIBA会議で議論白熱
2014/07/18 18:49
パネルディスカッションは、第一部がITベンダー、第二部がユーザー企業という構成。白熱したのは、ユーザー企業によるパネルディスカッションだった。自社のすべてのシステムをクラウドへ移行しようと取り組んでいる西原環境の稲嶺ただお・経営管理本部統括情報システム室長は、「クラウドによってITコストが圧倒的に安くなると期待して取り組んだ。確かに安くなったが、“圧倒的”ではない。一人あたり月額数百円は安いようにみえるが、社員が1000人だとしたら、とんでもない金額になる」と現状への不満を語った。中小企業にITが普及しないのも、まだまだコスト高だという考えだ。
この意見を受けて、サンコーインダストリーの奥山淑英社長は、「『とにかく安く』という議論は、やめてもいいのではないか。コンピュータにしかできないことが必ずある。例えば、ビッグデータを活用した将来予測などだ」と主張。ITコストの削減よりも、ビジネスに貢献するITはどうあるべきかを考えたいということだ。中小企業にITが普及しないのは、ITがビジネスに貢献していないから、と捉えることもできる。
ITベンダーとのつき合い方についての議論も、興味深いものだった。旭フーズの菊地拓也副社長は「中小規模の企業だと、多くのITベンダーに会うことはできない。だから、ベンダーを絞ってそこに賭けることになる」と語る。かつて、ERPで大手ITベンダーにロックインされ、そこからの脱却に苦労した経験がある。絞り込んだITベンダーが頼りになるかどうかは、非常に重要なポイントになるのだ。
西原環境の稲嶺室長も、何でも話すことができ、信頼できるITベンダーの担当者を一人は確保するようにしているという。また、稲嶺室長は、ITベンダーがユーザー企業の情報システム部門ではなく、現場や経営トップにターゲットを変えようとしていることに対して、「ITに不都合があるからだ」と苦言を呈した。「例えば、IT要員が減るとなると、情報システム部門に説明しにくくなる。それを含めて提案すべきなのだが、それが嫌だから経営トップにいく」。奥山社長も「私のところに直接来たら追い返す。社長に社内営業させようとしている」という考えだ。パネルディスカッションは、この調子で最後まで白熱した議論が続いた、
最後のワールドカフェでは、「企業に役立つITを活用するためには何が必要か」をテーマに、参加者全員が各テーブルに分かれて議論。時間を区切って席を移動するなどの工夫もあって、「さまざまな意見交換ができる」と好評だった。
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