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<WPC 2014>米本社と日本法人幹部が語る今年のキーメッセージ
2014/07/16 18:49
「オープン戦略」の加速――日本マイクロソフト 小原琢哉・執行役専務エンタープライズビジネス担当
ナデラがCEOに就任してから、これまでマイクロソフトが手を結ばなかったようなライバル企業と協業するケースが非常に増えている。迅速な意思決定をするナデラは、オラクルやSAP、セールスフォース・ドットコムといったある面では競合している企業と、次々と協業している。マイクロソフトだけで、すべてのユーザーのすべての要望に応えるのは、あたりまえだが不可能だ。今回のWPCでは、たとえ部分的に競合していても、ユーザーに価値を提供できると感じたときは積極的に協業する「オープンな戦略」を推進する姿勢がより鮮明になった。(談)
クラウドをパートナーがより売りやすく――日本マイクロソフト 高橋明宏・執行役常務ゼネラルビジネス担当
「クラウドをもっと売る」という強い思いを示している。初日の基調講演のなかで、「Microsoft Office 365」「Microsoft Azure」「Microsoft Dynamics CRM Online」という3つのクラウドを拡販するために、「Office 365」と同様のオープンプログラムで「Azure」と「CRM Online」を販売することができるようになったことを発表した。
私たちのビジネスは、パートナーとの協業で成り立っている。昨年度(2014年6月期)の業績で、クラウドの売上高は前年度比で2.5倍と大きく成長したが、それもパートナーのおかげだ。今年度も昨年同様の成長率でクラウドを伸ばす方針で、そのためにはパートナーの力がより必要になる。その意味で、パートナーが売りやすい仕組みをつくるという思いを本社がしっかりと示してくれたのは大きい。(談)
「Challenger」を強調したCOO――日本マイクロソフト 伊藤かつら・執行役デベロッパーエクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部長
ケビン・ターナーの基調講演で、ターナーが「マイクロソフトは『Challenger(挑戦者)』である」と強調したことが印象に残っている。とくに、全世界・全デバイスでマイクロソフトのシェアはわずか14%しかないというデータを、プレゼン資料を用意してターナーが説明したことには驚いた。社内では浸透している数字だったが、社外にそれを出すことは異例。それだけマイクロソフトは危機意識をもっているということと、まだまだ伸びしろがあり、挑戦者として攻めていくという姿勢をパートナーに強く示した。(談)
セキュリティに対して強くコミットした姿勢――日本マイクロソフト 佐藤久・業務執行役員サーバープラットフォームビジネス本部本部長
初日の基調講演で、COOのケビン・ターナーが、ビジネス拡大のカギを握る五つのメガトレンドを紹介した。注目は、これまで掲げていた「クラウド」「モバイル」「ソーシャル」「ビッグデータ&BI」に、今回初めて「セキュリティ」を盛り込んだことだ。セキュリティを追加した意味は重い。
ターナーは基調講演で、「たとえ政府に『データを出せ』と言われたとしても、私たちはお客様のデータを渡さない」と強調した。それくらいセキュリティを重要視しているということを、本社のCOOが語ったことは大きい。クラウドビジネスを展開しているなかで、セキュリティを懸念するユーザーは依然多い。ユーザーの重要なデータを確実に守るという、これまで以上のコミットメントであることを感じたし、それを日本のユーザーに届けなければならないと感じた。(談)
過去にはない変革を推進――米マイクロソフト スーザン・ハウザー・コーポレートバイスプレジデント・エンタープライズ&パートナーグループ
今回のWPCは、これまでとは異なる新たな動きを感じてもらえる機会になっていると思う。CEOに就いたナデラは、控え目でおごらない人柄で、思考が深い。そして、過去にとらわれず、新しいことにチャレンジする人。オラクルと協業するなど、これまでのマイクロソフトにはない取り組みが複数出てきているのは、ナデラがCEOに就任したからこそだろう。今回のWPCでも、マイクロソフトが従来にはない変革を進めていることを、パートナーに伝えていければと思っている。(談)
クラウドをパートナーネットワークの中心に据える――米マイクロソフト ガブリエラ・シュースター・ワールドワイドパートナーマーケティング&プログラム・ジェネラルマネージャー
クラウドをパートナーネットワークの中心に据えるということがキーメッセージだ。発表したいくつかのパートナー向け支援制度は、共通して、クラウドを売るパートナーを手厚く支援する内容になっている。これまでのマイクロソフトは、何でもやろうとする動きがあった。しかし、ナデラになってから、優先順位をしっかりと決めて、どこに力を入れるかが明確になった。クラウドを中心としたデータセンターと、データプラットフォームの分野に集中していこうということが明らかになっている。私の担当分野であるパートナービジネスでも、当然この分野にリソースを集中して投下することになる。(談)
・米マイクロソフトの年次パートナーイベント、ワシントンD.C.で7月14日に開幕、日本からの参加者は過去最多
・ケビン・ターナーCOOが基調講演、恒例の他社比較で優位性を強調
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・米マイクロソフト、「Microsoft Store」を100店舗以上展開、中国にも初出店
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