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PWLC 2014、「IBMは変わる。ビジネスパートナーも変わってほしい」
2014/02/13 18:45
「(市場の変化として)三つのビッグシフトがある」と切り出したロメッティCEO。IBMは事業戦略を「データ」「クラウド」「エンゲージメント」の三つに、大きくシフトさせていくという。それぞれの内容は後述するとして、ロメッティCEOのメッセージは、「IT市場の変化とともにIBMも変化していく。そして、より成長が見込まれる市場を開拓していく。ビジネスパートナーもついてきてほしい」に尽きる。
パートーにも“変化”を求める
PWLCは、IBMのビジネスパートナー向けのイベント。先頃発表されたx86サーバー事業のレノボへの売却についてのコメントには、多くのパートナーに影響があるので、自然と注目が集まる。実際に、ゼネラルセッションの司会を務めた米IBM グローバル・ビジネス・パートナーズ マーク・デュパキエGM(ゼネラル・マネージャー)によれば、IBMのx86サーバーを専門に扱っているパートナーは、グローバルで1000社を超えるという。彼らは、いや応なしに“変化”を受け止めなければならない。メディアのインタビューに応じたデュパキエGMは「IBMが変わったというよりも、市場が大きく変化している。その変化に対応することの必要性をビジネスパートナーにも認識してほしい」と語った。コモディティ化が進んだx86サーバーでは、収益の向上は難しい。IBMとしては、より収益率の高い分野に事業をシフトしていきたいというのが、x86サーバー事業売却の根底にある。その売却益で新規事業を開拓していくことを予定しているのだ。
とはいえ、すべてのパートナーが急激な変化を受け入れられるとは限らないので、今後はレノボとともにサポートを行っていく。2004年にレノボに売却されたIBMのPC事業は、法人向けは日本IBMが現在も販売を続けている。x86サーバーについても同様のサポートを行う予定だ。
教育プログラムも用意
IBMが変化しても、ビジネスパートナーが変化しなければ、事業は成功しない。そこでIBMは、パートナー向け教育プログラム「Thinkアカデミー」を立ち上げる。「より付加価値の高いビジネスへの転換を支援したい」(デュパキエGM)という考えだ。さらに、ビジネスパートナー向けの経営分析サポート「Business Transformation Initiative(BTI)」を用意する。これは、パートナーのビジネスを診断・分析し、事業戦略とのギャップなどを発見して、ビジネスパートナーの進むべき方向を示すコンサルティングサービスだ。「IBMは変わる。ビジネスパートナーも変わってほしい」。このメッセージは、ロメッティCEOをはじめ、PWLCの登壇者から繰り返し語られている。
進化するIBM Watson
冒頭の三つのビッグシフトに出た「データ」と「クラウド」の文脈で、外すことができないのが、人工知能「IBM Watson」の存在だ。米国のテレビクイズ番組「Jeopardy!」での勝利から約3年。能力が飛躍的に向上したWatsonを、今後はクラウドサービスとして提供していく。PWLCでは、クラウド化の概要を説明し、ビジネスパートナーとともにエコシステムをつくっていくことを約束した。非常に複雑なシステム構成になっているWatsonだが、クラウド化することによって、多くのパートナーが提供しやすくなる。
ビッグデータ戦略でも、Watsonは重要な役割を担う。ゼネラルセッションに登場した米IBM インフォメーション・アンド・アナリティクス・グループのボブ・ピチアーノSVP(シニア・バイス・プレジデント)は、「Watsonのシステムは大きすぎる。そこで10の機能を部品として提供していく」と語った。日本語に対応していないWatsonだが、部品として提供されることによって、国内での展開も期待できそうだ。
最後に、冒頭に紹介した3つのビッグシフトの3番目「エンゲージメント」について触れておきたい。日本人にはなかなかすんなりとは理解できないこの言葉だが、対象となるのは主に「ソーシャル」と「モバイル」であることから、「日常業務」と意訳したい。ビジネスシーンでのIT活用の変化に対応しようという思いが込められている。(畔上文昭)
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