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日立アジアとタイMAT、タイ現地ユーザー企業と「JP1」販売10周年を祝う
2013/11/20 18:39
セミナーでは、最初にMATの青木社長が主催者を代表してユーザー企業やITベンダーに対して感謝の意を表し、「当社は地域密着型で、ハードウェアからソフトウェアまで、日本の有力製品・サービスを総代理店として販売している。『JP1』は、日立製作所のクラウド事業を取り仕切る高橋明男担当本部長との出会いをきっかけに、私の前任社長のとき、2000年に契約を締結し、2003年に取扱いを開始した。当時の『JP1』はVersion 7で、5ライセンスの導入から始まり、これまでタイの日系企業を中心に77社の実績を上げた。引き続き、東南アジアの5拠点で『JP1』を拡販していくためにさらに進化し、販売代理店として2次店の皆さんが効率よく動くことができるよう、支援していく」と挨拶した。
続けて、最初の基調講演に『週刊BCN』の谷畑良胤編集委員が登壇。「東南アジア地域のIT事情の今を解く」と題して、各国のIT事情を語った。このあと、日立製作所のITプラットフォーム事業本部ITマネジメントソリューション開発部の高橋亨主任技師が、「東南アジアにおける情報セキュリティ管理のポイント」のテーマで、日系企業が新興国で抱えている情報セキュリティの課題について説明した。
高橋主任技師は、「タイでは、正規ルートで購入したパソコンが、2~3日は正常に動くが、その後、ソフトウェアに海賊版の表示が現れて使えなくなるケースがある。ベトナムでは、海賊版と思われるアンチウイルスソフトが多く、定義ファイルが更新されないままで、ウイルスを防ぐことができない例などが報告されている。また、中国で市販パソコン160台を購入して調べたところ、海賊版の59%のソフトにウイルスが混入していた」と、各国の状況を説明。新興国では海賊版が蔓延しており、知らないうちに違法ソフトを使用してしまったり、ウイルスに犯されたりするケースが多発していることを訴え、ライセンス管理の重要性を強調した。
このあと、日立アジア、MAT、日立製作所が、「JP1」とクラウド関連の記念講演を行った。最初に登壇した日立アジアの牧野吉洋マネージャーは「IT資産管理の強い味方、日立JP1の最新バージョンをまるごと紹介!『JP1 Version 10徹底解説』」と題して、「JP1 Version 10」の機能を解説した。
牧野マネージャーは、冒頭「日本に続き、海外では本日『Version 10』をリリースした」と報告。新バージョンの強化ポイントとして、「オートメーション」「コンプライアンス」「モニタリング」を挙げ、「ITシステム運用のさらなる自動化を実現し、システム全体を効率よく管理できるようにした。また、新たに『JP1』の技術やノウハウを応用した『JP1サービス』を開発し、バージョンの混在環境でも運用できるようにした。10年間のロングライフサポートなども付加している」と述べた。新興国でも利用が拡大しているスマートデバイスにもいち早く対応し、エージェントレスで管理できる機能強化なども紹介した。
続けて、MATの太田博明ソリューションマネージャーが、「買っただけじゃもったいない! JP1を使いこなそう」と題し、「JP1」で収集したIT資産管理データを自動生成して利用する方法や、その理由を語った。太田マネージャーは「セキュリティレベルを引き上げることができ、内部統制の強化やコンプライアンスの遵守、的確な定義ファイルの自動配布などが実現する」と、「JP1」に組み込まれた20種類以上の豊富なレポート機能が、全体の業務改善につなげることを強調した。
セミナーの最後には、日立製作所のクラウドサービス事業部エンジニアリング本部の高橋明男担当本部長が「今、避けては通れない、クラウドコンピューティングを熱く語る!『クラウドの状況と日立の取り組み』」と題し講演した。冒頭、MATと出会いや「JP1」の総代理店になってもらうまでの経緯を述べ、「東南アジア全体では約250社、中国では約300社が『JP1』を導入している。そのなかでも、MATの貢献度は大きい」と、感謝の意を表した。
さらに、昨今のクラウド事情や日立クラウドソリューション「Harmonious Cloud」などについて説明。高橋担当本部長は、「物理サーバーを東南アジアの各拠点で運用管理する人的負担が増している。当社のシンガポールのデータセンターにある『Harmonious Cloud』環境を使えば、ITリソースの負荷を軽減し、キャッシュフロー経営の役にも立つ」と、利用を促した。セミナーの最後には、ホテル内で参加者が軽食で懇親を深めた。
◆キーパーソンインタビュー1
MAT 青木正敏社長
2003年に日立製作所と販売代理店契約を結び、「JP1」の販売を開始したが、最初はなかなか導入が進まなかった。ところが、タイに進出する日系企業が急速に増え、昨年、今年と完全に花開いた。11年に発生した洪水で、日系企業の工場には大きな被害が出たが、その後は工場を設ける企業が戻り、翌年以降は年率で2倍の成長を遂げている。現在までに、導入実績は累計で77社/約5万ライセンスにまで拡大し、当社の主軸製品になった。
「JP1」は、「デスクトップ・マネジメント」がわかりやすく、企業に理解されやすい。この機能は、多数の分岐拠点を抱えるシステムでも、IT資産情報をマネージャーで一元管理し、複数の管理者による分担運用ができる。複数の拠点に工場を置く製造業にはうってつけの製品だ。当社にとっては、「JP1」を販売することで、サーバーやパソコンなどのITインフラを複合的に販売でき、顧客の信用が獲得できるというメリットがある。
現在、日立には、「JP1」のカスタマイズに関する顧客の要望に応えるために、APIを提供してもらうよう手配している。これによって、「JP1」に関連したソリューション提案の幅が大きく拡大すると思っている。今後も、日立の看板製品である「JP1」の販売を継続し、よりプレゼンスを高めていきたい(談)。
◆キーパーソンインタビュー2
日立アジア 牧野吉洋マネージャー
日立アジアは、シンガポールを統括拠点とする日立製作所の東南アジア地域での地域統括会社で、地域戦略立案、販売、サービス、R&D、調達部門などをもつ。1963年に日立製作所がシンガポール事務所を開設し、89年に日立アジアが誕生した。現在、東南アジア7か国・8拠点に展開している。事業は、産業機器、空調機器、その他社会インフラ関連事業などに加え、情報サービス事業がある。
「JP1」の販売開始は中国より早く、2000年に遡る。タイでは、MATと2000年に代理店契約を結び、06年に日立アジア所属で「JP1」を担当するタイ人の専任ローカルスタッフ体制を敷いた。東南アジアで国別の「JP1」の売上高を見ると、トップはシンガポールで、次いでタイが多い。タイの伸び率は群を抜いて高い。製造業を中心とする日系企業の進出が相次いだこともそうだが、フラッグシップのパートナーで代理店であるMATの活躍によるところが大きい。統括拠点として、セールス・コンサルティングや日系企業向け販売会社の支援も行っている。
伸び率は、インドネシアも高い。統合基幹業務システム(ERP)「SAP」や「Dynamics」などをあわせ、「JP1」は自動車関連の日系企業に売れている。ERPや生産管理システムの導入と同時にIT資産管理を入れるケースが増えている。
現在は、東南アジア各国に進出する日系企業への販売が主だが、今後5年でローカル企業へ「JP1」を販売する体制を整える。そのためには、最低でも各国に1社、「JP1」をきちんと販売できるローカルのITベンダーを育てたい。「JP1」は、IBMやCAの競合製品に比べれば、東南アジアでのシェアはまだ低いが、IBM、CAに割って入り、確固たる地位を築く(談)
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外部リンク
Material Automation(Thailand)=http://www.mat.co.th/