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米オラクル、インメモリDB発売へ、「Oracle OpenWorld 2013」でエリソンCEOが明言
2013/09/24 18:34
今年は製品主体の説明に終始したラリー・エリソンCEO
22日の基調講演には、エリソンCEOが登場。最新の主力データベース(DB)「Oracle Database 12c」で独SAPのHANAに対抗するインメモリDBのオプション製品や、「Oracle Solaris」が稼働する「SPARC Enterprise Mシリーズ」の「M6-32」、Oracle DB向けのバックアップアプライアンス製品「Oracle Database Backup Logging Recovery Appliance」などの新製品をお披露目した。一方、世界のパートナーが集う今年度(2014年5月期)のキックオフとなる「Oracle PartnerNetwork(OPN) Specialized」の基調講演では、マーク・ハード社長が認定制度「Specialization」の取得ITベンダーが世界で拡大していることなどを報告した。
エリソンCEOは、昨年度の決算会見でハード社長が簡単に触れたインメモリDBについて語り始め、1時間のもち時間のうち半分をこれに費やした。そのうえで、「過去5年間、データベースの革新はクエリ(DB管理システムに対する処理要求を文字列として表したもの)のプロセスを検証してきたことで生まれた。当社のインメモリDBは、新しいアイデアを駆使したことで、従来よりクエリが100倍以上速い。行のフォーマットに同じデータをアレンジしてカラム(各レコードに含まれるデータの種類を示すもの)に反映し、両方をメモリに入れた」と述べ、性能の違いを実現する技術力を誇示した。
また、OLTP(オンライントランザクション処理)については、「分析用のインデックス機能を取り払い、オーバーヘッドを極限まで減らした」(エリソンCEO)ことで、「スイッチを押せばいいだけ。アプリケーションをいじらずに通常のRDBMS(関係データベース管理システム)をインメモリDBに移行できる」と語った。SAPのHANAは、SAP ERP(統合基幹業務システム)での適用が可能だが、他のアプリだと変更に必要な追加開発が伴う。しかし、オラクルが示したインメモリDBなら、その手間を省くことができるという。なお、インメモリDBのオプション製品の発売日は明らかにしていない。
米IBMの競合製品「IBM Power 795」と比較した
一方、「Mシリーズ」の新製品として、オラクルが「Big Memory Machine」と呼ぶサーバー「M6-32」を同日発売すると発表した。「M6-32」は、サン・マイクロシステムズの系譜を受け継ぐ「SPARC M5-32サーバー(M5)」の後継製品で、「M5」の倍のコアを搭載。「SuperCluster」方式での提供も行う。競合製品として米IBMの「IBM Power 795」をスライドで示しながら、費用対効果が2倍に達することをアピールした。
エリソンCEOの講演の最後には、バックアップアプライアンス製品「Oracle Database Backup Logging Recovery Appliance」を出すことを「私が決めた」と異例の発表。エリソンCEOは、「DBのリストア(復元)を従来のバックアップアプライアンスで実行しようとすると、できないケースがある。DB内の変化した部分だけのログを取りリカバリする」と述べた。今回公表した新製品のうち、「M6-32」以外の発売時期は未定。詳細は、23日午後(日本時間24日朝)にニュースリリースとして出される予定だ。
ハード社長は、初日の午前中、世界のパートナーが集うOPNの基調講演に登場。「すでに、世界では90億個のデバイスがインターネットにつながっている。『Internet of Things(IOT=モノのインターネット)』の時代に入り、データ量は爆発的に増えている」と、今後のパートナービジネスでは、IOTとビッグデータ、モバイル環境がキーワードになるとした。また、現況にも触れ、「インテルベースのサーバーは世界市場での販売が80万台で、成長は鈍い。一方で、ITインフラのコストと複雑さが低減するように事前統合したオラクルの『Oracle Engineered Systems』は、ビッグアカウントを中心に導入が進み、年率60%の成長を遂げている」と、オラクルの垂直統合型製品が急速に成長していることを明らかにした。
ハード社長が登壇する前に行われたOPNのプレス向けセッションでは、北米、アジア・アフリカ、日本のアライアンス関係の責任者が一堂に会し、各エリアのパートナービジネスの現状を報告した。冒頭、パートナー担当のジョエル・ボアリス バイスプレジデントが、「パートナー・エコシステムが好転し、現在『Specialization』に認定されたITベンダーは、世界で約2万5000社。昨年度だけで新たに6000社が参加した。また、ERPやCRM(顧客情報管理)など、パブリッククラウドの販売に約200社が関わっている」と現況を報告した。
渡部洋史執行役員(左から3番目)が日本市場の現況を語った
OPNのプレス向けセッションには、日本オラクルの渡部洋史執行役員アライアンス統括がパネラーとして登壇。「グローバルで展開している『Specialization』は、日本市場でも拡大している。販売面では、富士通などが日本のグローバル企業の『Oracle Engineered Systems』導入で貢献している。日本では、今年度、クラウドサービスを広げる」と語った。(谷畑良胤)
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外部リンク
日本オラクル=http://www.oracle.com/jp/
「Oracle OpenWorld」=http://www.oracle.com/openworld/index.html