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米AMD パソコンへのAPU提供に意欲 ゲーム機器でシェアを高める

2013/09/19 18:34

週刊BCN 2013年09月16日vol.1497掲載

 米AMD(ロリー・リード社長兼CEO)は、CPUとGPUを統合したプロセッサであるAPUをパソコンの心臓部として提供するビジネスに意欲的だ。成熟するパソコン市場にあって、APUで新たな価値を提供。また、グローバルで需要が増えているゲーム機器へのプロセッサ提供も進め、シェアを高めようとしている。さらに、デジタルサイネージ用パネルへの搭載などでも拡大を図る。

ジョン・バーン
CSO
 米AMDは、パソコン、ゲーム機器、スマートデバイスなどをプロセッサを搭載する端末と位置づけている。また、組み込みビジネスとしてデジタルサイネージ用パネルや複合機なども対象と捉えており、さまざまな業界を対象にユーザー企業を開拓している。シニアバイスプレジデントのジョン・バーンCSO(最高営業責任者)は、「業界の枠を広げることによって、成長市場でビジネスが展開できるようになった」と説明する。

 そのなかで、主力に位置づけるパソコン向けビジネスは、世界的に市場が成熟している状況だ。しかし、「だからこそチャンスがある。他社では提供していないAPUでパソコンの価値を高めていく」とアピールする。

 ゲーム機器向けビジネスに関しては、需要の増大によって市場が拡大していることに加え、「プレイステーション3」や「Xbox360」「Wii」などにGPUを提供することでシェアが拡大。この分野が貢献して、今年度(2013年12月期)第2四半期にグローバルで36.4%のシェアに達したという。

 同社は、2013年度第2四半期の業績が売上高で前年同期比18%減の11億6100万ドル(約1170億円)、最終損益が7400万ドルの赤字(前年同期は3700万ドルの黒字)と厳しい状況に陥っている。しかし、「Kabini」のコードネームで開発してきたクアッドコアAPUや、脱着や液晶部分の回転などでタブレット端末としても使えるノートパソコン向けのAPU「Temash」などを市場に投入。両方とも、これまでCPUとGPUで別だったチップセットの統合を実現し、基板に実装する際の実装面積を小さくできるようになったことから、パソコンメーカーなどがクライアント端末を薄く設計できるようになった。

 他社との差異化を図る製品を発売したことで、「今後、ビジネスが拡大することは確実」と自信をみせている。(佐相彰彦)
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外部リンク

日本AMD=http://www.amd.co.jp/