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問われる東北の発展、ITで日本を元気に! などが仙台でイベントを開催
2013/03/12 18:31
東日本大震災から2年がたった現在、東北地区を単に震災前の状態に戻す「復旧」ではなく、経済や生活を発展させる「復興」を加速しなければならない。この復興に向けた支援活動を行っているITで日本を元気に! と、ベンチャー企業サポートのMAKOTOは、今回のイベントで、ITによって復興に貢献するのはもちろんのこと、地元ITベンダーの成長につながる新しいビジネスモデルをどう立ち上げるかを議論した。
ITで日本を元気に! の志子田有言運営委員は、今後、サテライトラボやIT研修センターの設置をはじめ、IT教育支援やITイベントの誘致など、東北地区のITスキルを高め、全国で存在感を示すための施策に力を入れるとした。
志子田委員は。「地元にシステム開発の拠点を置き、高速ネットワークを用いるテレビ会議によって東京との打ち合わせができるサテライトラボを設置・運営する。これと連動して、高度技術を学ぶことができる場所を提供し、東北のIT技術者を最先端テクノロジに精通するプロに育てたい」と、支援強化の方針を示した。
「東北ITベンダーが“商人”になって、全国を回りながら自社の商材をアピールすることが欠かせない」。MAKOTOの竹井智宏代表理事は、東北地区発のITベンチャーがビジネス展開を全国に広げるために、「営業」の意識をもって積極的に動くことが重要だと強調した。
竹井代表理事は、「起業家の流入を促進するために、倒産経験者に再チャレンジができる場を提供したい」と提案。「日本では一回失敗したら、再度挑戦するチャンスを与えてもらえないことが多い。東北で国内外の支援ネットワークを活用し、倒産経験者でも起業しやすい環境、すなわち『起業パラダイス』をつくりたい」と意気込んだ。
東日本大震災をきっかけに、東北地区には災害に強いネットワークインフラが整っていないという事実が浮き彫りになった。無線技術などを生かして、災害時に迅速に情報の発信・収集することができる仕組みをつくるのは、研究機関やITベンダーの腕の見せどころだ。
独立行政法人情報通信研究機構(NICT)情報分析研究室の鳥澤健太郎室長は、耐災害ICT(情報通信技術)研究の進捗を語った。NICTは現在、京都の研究所で合計18人のグループで耐災害ICTを研究。さらに、東北大学片平キャンパス内にNICT耐災害ICT研究センターを設け、東北大学との連携を密にしている。
鳥澤室長が担当するのは、大量のデータを処理し、情報提供を効率よく行う「質問応答システム」の開発だ。例えば「津波が到達するのはどこか」と検索することで場所を表示し、迅速に避難することができる仕組みだ。鳥澤室長は「現在、被災地でニーズについてヒアリングを行っており、2014年度にシステムを実用化したい」と述べた。(ゼンフ ミシャ)
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