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BCN、SIer向けのデジタルサイネージセミナーを開催、コミュニケーション設計が拡販のカギ
2013/02/12 18:26
デジタルメディアコンサルタントの江口靖二デジタルサイネージコンソーシアム常務理事が「2013年のデジタルサイネージ市場展望」をテーマに基調講演。江口氏は、広告収益型のデジタルサイネージの成功モデルとして「JR東日本トレインチャンネル」を挙げながらも、「これは規模のメリットを最大限発揮した結果であり、他の事業者がまねをしても成功しない」と指摘。「デジタルサイネージを単独で考えるのではなく、さまざまなメディア、端末を駆使したコミュニケーション設計をしたうえで導入提案すべき」と訴えた。
講演終了後は、四つのセッションで最新の関連ソリューションを紹介した。デジタルサイネージ用ソフトウェア「Scala」を展開するSCALAの古市隆裕システム・コンサルティング・マネージャーは、その特徴を「コンテンツ制作から管理運用、データ分析まで幅広くカバーする。コミュニケーションプランさえあれば、すぐに使ってもらえる」と説明。SIerにとってのビジネスチャンスとして、「社内コミュニケーションのツールにデジタルサイネージを使うケースが増えている。エンドユーザーは技術をよく知らないので、SIerのサポートが必要」と話した。
岡谷エレクトロニクス応用技術部ソフトウェア技術グループの高橋一夫プロジェクトリーダーは、デジタルサイネージシステムの基盤として活用できるサーバー向けOS「Windows Server 2012」の概要と特徴を説明した。ハイパーバイザー「Hyper-V」の最新版を搭載し、仮想化関連機能を従来より大幅に強化したほか、「ユーザーインターフェースがシンプルになり、すべての手順が簡単になった」として、「デジタルサイネージ活用のポテンシャルが高まった」とアピールした。
デジタルサイネージソリューション国内最大手であるピーディーシーからは、システムビジネス部の玉井佑樹氏が、昨年11月に発売したクラウド型デジタルサイネージシステム「AFFICHER」を紹介。「機器の設置作業が容易で、セットアップも自動なので、導入から運用開始まで手間がかからない。また、すべての操作がインターネット経由で完結するので、人件費を含む大幅なコスト削減を実現する」と説明した。さらに、豊富な実績を通して蓄積したノウハウを生かして、「コンサルティングから効果測定、マーケティングまでデジタルサイネージに関するすべての工程をワンストップサービスで提供できる」と、ピーディーシーの強みを強調した。
マカフィー営業開発部の曽我睦巳エンベデッドセキュリティーソリューションズアカウントマネージャーは、デジタルサイネージのセキュリティ対策を解説した。堅牢なシステムであることが求められるデジタルサイネージには「従来のブラックリスト型セキュリティ対策はなじまず、ホワイトリスト型対策が有効」として、導入事例などを紹介した。
セッション終了後には、デジタルサイネージソリューションの販売で連携しているダイワボウ情報システムと岡谷エレクトロニクスが、今後の戦略を発表。3月からダイワボウ情報システムの会員専用受発注システム「iDATEN(韋駄天)」に岡谷エレクトロニクスの取扱い製品も掲載するなど、協業の強化を明らかにした。
パネルディスカッションには、古市マネージャー、高橋プロジェクトリーダー、玉井氏がパネリストとして参加。流通業界でデジタルサイネージのニーズが大きくなりつつある状況などを指摘する声が上がったほか、未開拓分野へのアプローチの方法として、「潜在的なニーズをユーザーに気づかせるきっかけをつくるのが、メーカー、ディストリビューター、SIerの役割」という主張も聞かれた。
セミナーの最後には、岡谷エレクトロニクスの親会社である岡谷鋼機の中村慎一・東京本店エレクトロニクス部横浜分室スタッフリーダーが、デジタルサイネージソリューションの拡販展望を語り、プログラムを締めくくった。(本多和幸)
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外部リンク
岡谷エレクトロニクス=http://www.oec.okaya.co.jp/