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BCN、札幌でセミナーを開催、地方IT産業の再成長への道を指し示す
2012/12/17 18:26
最初に『週刊BCN』の谷畑良胤編集委員が、「取材活動から紐解く最新のIT業界事情」と題して講演。全国の取材で得た情報をもとに、国内IT市場の成長性やSIerが抱える課題を説明した。
続いて、矢野経済研究所の野間博美上級アナリストが、「SMB市場のトレンドとITベンダの戦略」と題して、情報サービス産業の動向を解説した。野間上級アナリストは、「中小企業には、情報システム担当者がいない場合が多く、攻めのIT投資ができていない」と指摘。また、最新の調査で、IT導入に「課題がない」と回答した中小企業が7割に及んだことを紹介し、「課題がないのではなく、そもそも課題を見つけることができていない」と問題点を挙げた。そのうえで、IT化に成功した中小企業の例を取り上げた。
次に、ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンの山之内真彦マーケティングマネージャーが、2013年に起こりうる八つの脅威を紹介。「仮想環境でのマルウェアが爆発的に増加する」「マルウェアはシステムではなくブラウザを攻撃する」「IPv6で新たな脆弱性が次々に見つかる」など、すぐに起こりうる脅威だけでなく、「インターネット攻撃によって人が死亡する」など、ショッキングな予測を発表し、「誰もが攻撃の対象になる時代が来る」と警鐘を鳴らした。
全国地域情報産業団体連合会(ANIA)の中村真規会長は、地場の経営者の立場から、「北海道のマーケット環境の現状とニアショア開発」と題して北海道の課題や進むべき道を説いた。進むべき道として、「情報システム開発に徹する」「得意分野の業種を作る」「情報システム開発技術者の集積」の3点を挙げた。また、現在の道内の受託構造そのものが問題であるとして、「ニアショア開発」「アウトソーシング」が解決の鍵であると熱弁。「エンドユーザーからニアショア開発・アウトソーシングのビジネスを直接受けるビジネスモデルになれば、北海道は大きく変わる」とした。
最後に、デロイトトーマツコンサルティングの井島裕昭パートナーが、「北海道IT企業の生きる道」と題して講演。「北海道のIT企業は、はたして今のままで存続できるのか」と問題を提起し、「待ちの姿勢」から「提案型」への移行が生きる道であるとした。井島パートナーは、IT企業が備えるべき力として「業務設計力」「アプローチ構想力」「IT利活用構想力」「コミュニケーション力」の四つを挙げ、「提案力をつけて新規マーケットに打って出るべきだ」と述べた。
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外部リンク
矢野経済研究所=http://www.yano.co.jp/
ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン=http://www.watchguard.co.jp/