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ITR、「クラウド/ICTアウトソーシング動向調査」の結果を発表、「クラウドを積極的に活用すべき」が80%弱
2012/07/09 14:38
調査結果では、今後に向けたIT戦略の方向性として、「クラウドサービスを積極的に活用していくべきだと考えている」とした回答者が77.8%に上り、全体の4分の3を超えた。とくに、今後に向けて「アウトソーシングを積極的に推進する」とした回答者に限れば、実に90.1%がクラウドの活用に前向きな姿勢を示し、IT資産の最適配置、運用業務の効率化といったアウトソーシングの観点からも、クラウドサービスが有力な選択肢として位置づけられていることがわかった。
主要アプリケーション別にシステム構築の形態をみると、すべてのアプリケーション分野で、将来に向けてクラウドへの移行が進む傾向が明らかになった。現在は60~70%が非クラウド型で構築されている基幹系アプリケーションについても、今後の計画ではクラウド型での構築を希望する企業が軒並み半数を超えた。
具体的な構築手法としてはプライベート・クラウドを指向する企業が多く、パブリック・クラウドを大きく上回まった。なかでも「プライベート・クラウド+運用アウトソース」の組み合わせを望む企業が大きく増加。システム構築の独自性・自在性を確保しつつ、運用業務を効率化したいとのニーズが高まっている。
既存システムをクラウド化する手順としては、「物理環境にあるシステムを仮想統合したうえでクラウド化する(P2V2C)」が22.4%で最多。「未統合の仮想システムを統合したうえでクラウド化する(V2V2C)」の13.5%、「仮想統合されているシステムをクラウド化する」の6.6%と合わせて40%以上が「仮想統合」という手順を踏んだ後にクラウド化する方針であることがわかった。仮想化技術は、クラウド化を実現するステップの一つとしても引き続き重視されるとみる。その一方で、こうした手順を踏まない“クラウド・ファースト派”も一定数存在しており、なかでも「システム再構築によってクラウド化する」とした回答は21.2%に上った。
クラウド化に着手するシステムの優先順位については、「自社センターに設置され、自社で運用するシステム」を挙げた回答者が31.8%で最も多く、「外部センターに設置されたシステム」を上回った。また、外部センターに設定しているシステムのなかでも、ハウジング(自社所有)のシステムから優先的にクラウド化する意向があることが明らかになった。
このほか、とくにクラウドを積極的に活用したいと考える企業については、「データセンター内」はもとより「複数データセンター間」でも、柔軟なリソース増強(配分)やデータ移行/バックアップへの対応を求める傾向が表れた。ITRは、高い拡張性を備えたデータセンター・サービスを優先して選定する動きが強まるとみている。
一方、アウトソーシング事業者に対しても、「今後はクラウドへの対応力が厳しく問われることになる」と指摘。「クラウドサービスを積極的に活用する」とした507人に対して、アウトソーシング事業者に求める能力について問うたところ、「クラウドへの対応力を重視する」とした回答が多数を占めた。とりわけ「コンサルティング・サービス」「移行サービス」「プライベート・クラウド・サービス」が重視される傾向が強いことがわかった。(信澤健太)
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