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日台ITビジネスアライアンス交流会を台北で開催、200人以上の関係者が国内外から参加

2012/06/07 10:49

【台湾発】6月7日、台湾・台北市内で、日本・台湾・中国による「新ゴールデントライアングル」構想にもとづいた「2012 日台ITビジネスアライアンス交流会」が開催された。4年目を迎えた交流会には、日本国内のITベンダーや台湾のITベンダー、IT団体、台湾政府などの関係者が多数参加。参加申込みは総勢200名を超え、過去最大となった。

 「新ゴールデントライアングル」は、日本国内のITベンダーの品質管理や信頼性の高いブランド力と、台湾のITベンダーの中華圏での商習慣や言語への理解、マネジメント力というそれぞれの強みを相互に補完することで、中国をはじめとするアジア各国の市場を開拓するという構想。CISA(中華民国情報サービス産業協会)が提唱している。今回の交流会では、「新ゴールデントライアングル」の具体的な協業モデルや事例を通じて、台湾を経由して中華圏に進出するメリットを紹介した。

 冒頭、台湾を代表して、経済部工業局の周能傳副局長とCISAの劉瑞隆理事長が登壇。周副局長は、「今、ハードウェアビジネスの利幅は小さくなっている。ハードとソフトウェアを組み合わせて、新しい価値を提供することが重要になっている」と話し、日本と台湾の得意分野を生かしてアジア各国の市場を開拓しようと呼びかけた。劉理事長は、「これほど多くの参加をうれしく思う。アジアビジネスで協業を深めていくために、さらなる支援をお願いしたい」と語った。

中華民国情報サービス産業協会の劉瑞隆理事長

 続いて、日本から参加したJISA(情報サービス産業協会)の岩橋誠常務理事、JASPA(全国ソフトウェア協同組合連合会)の中島洋理事長、KT-NET(Knowledge & Technology Information Network)の滝嶋康弘理事長、MIJS(メイドインジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム)の美濃和男理事長が、壇上で挨拶した。

 基調講演では、国際CIO学会会長や早稲田大学の電子政府・自治体研究所所長を努める小尾敏夫教授が、「日台新経済連携時代に向けて」と題して、日本と台湾が互いの長所・短所を補完してWin-Win関係を構築することの重要性を説いた。具体的には、日本・中国・台湾の3国間のバリューチェーンとサプライチェーンの構築をはじめ、途上国の優秀な若者を日本語、中国語、英語の3か国語で教育訓練すること、また国際標準化での連携などを提言した。小尾教授は、「品質やブランドが強みの日本と、人脈とガバナンスに長けた台湾、安い労働力の中国という関係を生かしてアジアに進出できる」と訴えた。

早稲田大学の小尾敏夫教授

 「新ゴールデントライアングル」の成功例として、日立ソリューションズが台湾の有力SIerであるSYSCOMグループと協業して、情報漏洩防止ソリューション「秘文」を販売している事例を紹介。台湾の新版個人資料保護法によって、需要の拡大が見込まれることなどを説明した。

 ビジネスブレイン太田昭和(BBS)の松江芳夫国際事業推進室室長は、「新ゴールデントライアングル」に関する新たな専門コンサルティングサービスについて、実体験を交えながら紹介。単なる中国語対応ではなく、日本の長所は残しつつも、「中国IT市場に合致したビジネス手法を用いることが成功のカギ」と強調した。また、CISAの資料を引きながら「新ゴールデントライアングル」とは、米シリコンバレー(R&D)、台湾(管理)、中国(製造)の連携で、台湾のITハードウェア産業が繁栄した過去の成功体験を踏まえたものであることを説明。日本(製品・品質)、台湾(業界ノウハウ)、中国(ソフトウェア受託業務)に置き換えた協業が新たな成功を生むモデルであることを訴えた。

 BBSは、中国IT市場の開拓を支援する「China & Asia Landing Service」を用意。中国アジア、とくにASEANで協業パートナーと連携し、日本本社と現地法人向けに支援サービスを提供する。これは、(1)SYSCOMグループをはじめとする台湾SIerとの協業による中国アジア開拓支援サービス「New Golden Triangle Service」(2)日系製造業向け中国進出支援サービス「China Landing Service」(3)日系製造業向けアジア進出支援サービス「Asia Landing Service」の三つのサービスから成る。

協業を発表し、がっちりと握手を交わすBBSの石川俊彦社長とCISAの劉瑞隆理事長

 このほか、台湾の日本企業への優遇措置を経済部工業局の担当者が発表し、「大阪の企業からの台湾への投資が、2011年に181%伸びた。ECFA(両岸経済協力枠組協定)の影響が強いとみられる」との見解を示した。(信澤健太)
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