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<MIJSカンファレンスin上海>日立ソリューションズは中国向けクラウド基盤を公表、後半は9社が自社製品を紹介
2011/11/25 10:37
イベント後半には、日系のソフトウェアベンダー9社が自社製品などを紹介した。日本語会場Aでは、トップバッターとして構造計画研究所の岡村峠・中国営業担当マネージャが登壇。「画像解析による作業効率化とセキュリティ向上支援」と題し、同社が建築会社などに提供している「BeMAS/M、作業計測ソリューション」を紹介した。「工場内の安全性を高めるため、画像解析を使って人間と動物などを判別する機能や、クレーン車などを漏れなくチェックできる仕組みがある」と、中国の日系企業で使える製品を紹介した。
続いて、ウイングアークテクノロジーズのBI製品「Dr.Sum EA」を担当する小島薫・BIサポート本部本部長が「日本、中国で選ばれているDr.Sum EA/MotionBoardが社内の情報活用を変革する」と題し、BI製品などを訴求。「中国でも『Dr.Sum』を積極的に販売し、現地ITベンダーとも販売提携している。最近では、セールスフォース・ドットコムとの連携製品も出している」と述べた。中国企業の導入例もあるが、当日は日本企業の日本での事例を紹介。「簡単で速くデータを分析でき、日本国内の外資系製品に比べ安価なBIで、運用コストを含めてTCOを大幅に削減できる」と、「Dr.Sum EA」の有用性を語った。
次に、佐川急便(SG)グループの物流システムなどを担う飛速物流信息科技有限公司(SGシステム)の正代誠・総裁(SGシステム取締役)が、「物流システム導入による業務効率向上」と題し講演。同社の物流システム「Biz-Logi飛速/TMS」を使ったソリューションを紹介した。同社は、SGグループでは初めて中国に進出したITベンダーで、「1日に荷物を500万個集荷し、物流を経て配達し、各配送場で情報を見られるまでを一元管理している。物流はシステムをつくるだけでなく、業務がシステムに合って初めて実現する。経験値やこれまで培ってきたノウハウが必要になる」と、在庫管理やマスター管理などを駆使して物流を管理するソリューションを紹介。「中国市場は世界の生産拠点として注目されてきているが、現地人員の人件費が高騰した。そのため、効率化が求められている」と、同社の経験値に基づく物流システムが求められているという。
日本語会場Aの最後には、日立ソリューションズのサービス企画部の岩本豊氏が登壇し、「SaaSデパート構想の紹介~サービス集合型クラウドサービスによる社内業務の効率化支援/共通サービス基盤による中国市場への参入支援~」と題し講演。SaaSを使った事業の構想を語った。同社が用意するサービス基盤を利用してサービスを提供するITベンダーと、サービスの集合体(デパート)を使って業務効率化を進めようとしているユーザーに対し、具体的な内容を説明した。岩本氏は「日本のIT市場は縮小傾向にある。一方、日本の入札案件で外資系企業が受注する状況もある。日本市場に閉じるのでなく、外に目を向ける必要がある」として、中国市場参入を目指す日系ベンダーなどに対し、販売網や人脈網など、商流の課題を解決するサービス基盤を紹介した。一方、中国にすでに進出している日系企業に対しては、地域に応じたインフラ面の課題や制度上の規制対応などに対応できるサービスの提供を明らかにした。
日本語会場Bのトップバッターは、闊利達軟件(上海)有限公司(クオリティ)の飯島邦夫・総経理が「そのチャット仕事ですか」と題し、同社の「ISM CloudOne」などを使って、中国人の多くが使うチャット利用の問題などに対処する方法などを提案した。「中国に進出する日系企業は、成長とともに現地化が進み、システム管理者も中国人になっていく。ただ、その際に管理が甘くなる可能性がある」として、クラウドでシステム管理をアウトソーシングする「ISM CloudOne」が使えることを訴求した。「ISM CloudOne」は、Android端末にも対応しているという。
次に、NTTデータイントラマート上海の池博昭・中国市場営業本部長が「イントラマートを活用した業務効率化ソリューション」を紹介。同社のデータ連携ツールやグループウェア、文書管理ツールなどを使った業務効率化を提案した。とくに、ワークフロー「intramart」を使うと「“引き戻し”など、日本の商習慣に応じた業務フローにマッチした処理ができる」と、中国に進出する日系企業向けに適した製品であることを訴求。具体的には、出張旅費精算の煩雑さを「intramart」を使って改善した例を紹介し、「紙ベースでのフローは、人が多く介在し、煩雑だ。『intramart』を使えば、システム側で記入ミスなどをチェックするので、迅速にフローを回すことができ、他のシステムとの連携性も高い。ワークフローと基幹システムを同期することも可能だ」と語った。
続けて、WEICの内山雄輝社長が「ソーシャルネットワーク型日本語トレーニングで社員のモチベーションアップ」と題して講演。eラーニングを使った中国人向け日本語教育システム「i超速」を使った展開例を語った。内山社長は、「日系企業に働く従業員で、日本語能力検定の一級・二級を取得する人が増えている。ただ、一級保持者でも、話す能力に比べて聞く能力が弱い。当社の『i超速』は、このあたりに着眼して日本語教育ができるeラーニングだ」と、自社サービスを紹介。日本人向け中国語eラーニングについても触れ、「中国に赴任する日本人は、なかなか勉強することができない。当社のeラーニングは、実績のあるアルゴリズムを使った語学教育で実績があり、短期間で一定レベルの中国語を身につけることができる」と語った。
このあとは、ビー・エス・ピー(BSP)の結城淳・執行役員が、「A-AUTOで実現する業務の自動化とデータの見える化」と題し、同社のETLツール「A-AUTO」「Waha!Transformer・帳票自動化ソリューション」について説明した。結城・執行役員は「『A-AUTO』は700社の導入実績がある。中国での採用実績も豊富なETLツールであり、ノンプログラミングでデータの抽出・加工・変換が容易だ」と述べた。データ作成から帳票作成までを完全に自動化し、利用部門に必要なときに必要なデータを提供できるほか、これまで数日かかっていたデータ作成工数が数分で完了するので、「属人性の部分を解決できる」と特徴を説明した。
日本語会場Bの最後には、野村総研(北京)系統集成有限公司上海分公司(野村総合研究所)の長谷川剛・情報セキュリティ事業部部長が登壇。「クラウドで実現する情報セキュリティ対策」を紹介した。独自調査で得た中国の情報セキュリティの現状について、長谷川部長は「中国では、セキュリティ上の課題として、上位からウイルス感染、機器の損失・盗難などの順になる。日本と異なるのは、機器面の課題が上位に来ることだ。また、日系企業の40%はウェブサイトを独自に設けていない。ウェブサイトのセキュリティ診断などの段階には至っていない」と述べた。また、クラウドの普及に伴って「当社では、クラウドPC管理サービスとして、クラウド型のIT資産管理サービスを提供している。端末が中国語であっても、少ない台数からクラウド型で導入ができ、Android端末などにも対応している」と説明。これ以外にも、安全に大容量のメールをセキュアに送信できるシステムや、自宅のPCで社内PCを安全に操作する自社サービスを紹介した。
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