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キヤノンとオラクル、オフィス向けソリューションの製品・技術開発でグローバル協業
2011/09/26 10:33
4社は製品開発と技術開発で協業。製品開発はキヤノンITSが行い、技術提供・開発協力をキヤノン、米Oracle、日本オラクルが行う。開発した製品は日米で販売する。日本での販売は、キヤノンITSをはじめとするキヤノンマーケティングジャパングループが担う。米国では、Canon Information and Imaging Solutionsを中心とするCanon U.S.A.グループが販売する。
製品開発では、キヤノンITSがキヤノンのイメージング技術と「Oracle Database」「Oracle WebLogic Server」「Oracle SOA Suite」「Oracle WebCenter」など、オラクルのソフトウェア技術を組み合わせて「SOAベースのイメージングプラットフォーム」を開発・製品化し、グローバルで展開する。あらかじめ用意したアダプタによって、キヤノンの複合機「imageRUNNER ADVANCE」をはじめとするオフィス向けイメージング機器、各種デバイス、ERP、CRMなどのIT業務システムを連携。イメージング処理や紙文書の処理を含めて、効率化を実現する。プラットフォームは、キヤノン、オラクル製品に限らず、マルチベンダー環境に対応する。
技術開発では、すでにキヤノンは「imageRUNNER ADVANCE」のアプリケーションプラットフォーム「MEAP」の開発・実行環境として「Java」を採用。両社は「Java」の改善・進化を行っていくとともに、キヤノンのオフィス向けクラウドサービス基盤「Canon Business Imaging Online」の要素開発でも、オラクルのミドルウェア技術をベースとして共同開発を行う。
従来、企業では、複合機は主に総務部門が主体で構築・管理し、ERPやCRM、SaaSなどのビジネスシステムは情報システムが中心となって構築・運用していた。キヤノンとオラクルの協業により、複合機をはじめとするイメージングソリューション分野とビジネスシステム分野の垣根を取り払い、相互連携の仕組みを低コスト・短期間に実現する。
キヤノンは、ハード単体の売り上げが厳しくなっている状況から、「MEAP」による業務システム連携や「Canon Business Imaging Online」などのクラウドサービス、マネージドサービスなどのソリューション、サービスに力を入れている。発表会で、キヤノンの中岡正喜常務取締役映像事務機事業本部長は「SOAベースのイメージングプラットフォームによるビジネスで、2015年に200億円の売上規模を目標としている。この売り上げは、開発協業によってプラスされてくるもので、キヤノンにとっては重要な協業だ」と話した。
一方、オラクルはハードとソフトウェアの連携を強化し、事前に最適化することで、投資、運用・保守コストを最適化する製品戦略を展開している。日本オラクルの遠藤社長は「グローバルで名だたるテクノロジ会社であるキヤノンと、オラクルが企業の枠を越えて結びついたことで、最強の製品を提供できる」と話した。
SOAベースのイメージングプラットフォームの開発を手がけるキヤノンITSは、キヤノングループのなかでも、外販の売上構成比が7割に上るユニークな会社だ。キヤノンITSの郷慶蔵取締役常務執行役員事業企画本部長は「当社から製品を直接提供するほか、国内外でSIerにイメージングプラットフォームを提供していきたい」と話した。
今後は、10月2日に米国サンフランシスコで開催される「Oracle OpenWorld」にデモブースを出展。2012年1月に国内販売を開始する。12年上半期には、米国での販売を開始する予定だ。さらにキヤノンITSは、2013年にアジア・ヨーロッパへの展開、2014年にSaaSビジネスへの展開を通して個別目標として100億円のビジネス規模を目指す。(鍋島蓉子)
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