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IDC Japan、国内プライベートクラウド市場予測、15年の市場規模は2010年比5.7倍に
2011/09/12 10:37
2010年の国内プライベートクラウド市場の規模は1646億円だった。経営戦略にもとづくITの効率化とITを活用した新規事業の基盤として、急速な拡大が見込まれる。10年~15年の年間平均成長率(CAGR)は41.7%で、15年の市場規模は10年の5.7倍となる9406億円と予測している。
現在、IT戦略に長けた一部の企業は、経営戦略を支える俊敏性をもったIT基盤として、プライベートクラウドの導入を進めている。しかし、多くの企業はITの効率化のためにITインフラストラクチャの仮想化/統合を進めるものの、仮想化したリソースを「サービス」として扱い、柔軟性・迅速性・運用性を高めるプライベートクラウドの導入には消極的な姿勢がみられる。IDC Japanは、プライベートクラウドの導入には、仮想化環境に対する追加投資や新技術の習得が必要で、ユーザー企業には「攻め」のIT戦略が求められている、と指摘する。
ITインフラストラクチャの仮想化/統合の普及は、管理すべき仮想マシンを急速に増加させ、システムの運用管理の複雑化を招いている。この課題の解決には、プライベートクラウド化が有効だ。現在、仮想化環境の運用管理ソフトウェアやクラウド構築・運用サービスは急速に発展しており、12年以降、「仮想化からプライベートクラウドへ」が進む。
11年以降の国内プライベートクラウド市場で最も高い成長を遂げると予測するのは、コミュニティクラウドサービス。現在のコミュニティクラウドサービスは、既存の産業特化型ソリューションのクラウド化(共同センター型)が成長を支えている。14年以降は、スマートシティのような社会インフラ事業や異業種連携のクラウドが大きく成長するとしている。
国内市場では、ITの効率化に対する手段としてクラウドが注目されている。しかし、ITの効率化はIT予算の最小化が重要視され、クラウドの導入ではなく仮想化・統合にとどまり、経営戦略と乖離することがある。松本聡ITサービス リサーチマネージャーは、「クラウド化はITの効率化(手法の改善)だけでなく、業務内容・目的(やる事)の変革に有効な施策だ。クラウド化では、経営戦略から求められる達成基準を明確にし、目的指向をもつことが重要」と分析している。(信澤健太)
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