ニュース
<インタビュー>中国・大連ITクラブ、横のつながりで情報交換、「ネットワークづくりのお手伝いも」
2011/06/16 10:33
三上氏は日本IBMを定年退職後、大連に渡り、日本語教師を経て、現在、大連ソフトウェアパークのビジネスソリューション部日本業務総監として、日本企業誘致の仕事に携わっている。また、同パークで日語項目経理を務める谷口氏は、日本語教師として大連のITを支える日本語人材の育成に携わったのち、三上氏と同じ部署で企業誘致を手がけている。
「大連ITクラブ」は、日本IBMのOBである大連コンピュータコンサルティングの牛島五郎氏と三上氏が中心となって設立した同好会。当時は10人程度の小規模な集まりだったが、9年間の活動を経て、メーリングリストには300人近くが登録し、例会には常に30~40人ほどが参加する規模までに成長した。
大連では、市内に拠点を置く日本企業の団体「大連日本商工会」が会員同士の親睦に重要な役割を果たしている。だが、ITのことを自由に話すことができる場がなかったことから、大連ITクラブの発足に至った。三上氏は、「大連の日本企業では、グループ同士の縦のつながりはあっても、横のつながりがなかった。クラブでは企業の枠を越えて、楽しみながら情報を交換している」と話す。
例会は、すでに通算で50回以上開催。大連ソフトウェアパークの一角で、基本的には中国企業でも日本企業でも、興味があれば誰でも参加していいことになっている。ホームページを通じて、出張の折などに日程が合うと参加する人がいるなど、その時々でメンバーは変わる。内容も、毎回幹事を決めて話したいことを話す。日本と中国の雇用契約の違いなど、人事関連の情報交換をするときもあれば、今注目の高いクラウドコンピューティングをテーマに話し合うこともあった。
例会は、製品・サービスの宣伝の場でもある。新しいテレビ会議システムを紹介したり、NTTやKDDIが中国の通信事情を交えながら自社サービスを説明したり、大塚商会が日系企業向けに展開しているサービスを宣伝したり、さまざまなIT企業がこの場から情報を発信している。谷口氏は、「営利目的の集まりではないので、ここに参加したことですぐにビジネスが動くわけではない。だが、毎回幹事会社が行う自社製品の紹介などをきっかけに、製品やサービスを導入する企業もあるようだ」という。
中国ビジネスでは、人間関係が非常に重視される。三上氏は、「企業の枠を越えるだけでなく、中国で新しくビジネスを展開しようと考えている人に、ネットワークづくりのお手伝いができるといい」と、これからの大連ITクラブの姿を話してくれた。(鍋島蓉子)
- 1
関連記事
中国・大連のソフト開発事情 日系企業からのアウトソーシング拡大一途
ALSI大連 人材供給力生かし上流開発へ URLリスト収集も開始
日沖信息(大連) ソフト開発の世界重要拠点に変貌 中国内の案件に対応拡大へ
大連でアウトソーシングイベント開催、「世界のオフィス」目指す
ヤマト運輸、バックオフィス業務を日本IBMへ委託、大連センターを活用