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LPI-Japan、PostgreSQLの技術者認定試験を開始
2011/06/10 10:33
OSS-DB技術者認定には、「OSS-DB Silver」「OSS-DB Gold」の資格を用意した。「Silver」は、DBの設計・開発・導入・運用ができる技術者を認定。上位資格の「Gold」は、大規模なミッションクリティカルシステムでの設計指針、運用管理、コンサルティングができる人材を認定する。対象となるDBは、PostgreSQL 9.0。
オラクルが「MySQL」を買収した関係で、当面は「PostgreSQL」の技術者の認定を行う。PostgreSQLは、1986年にBSDにもとづくライセンスで公開されたもので、商用DBに劣らない性能をもつのが特徴だ。
PostgreSQLは、日本ではSRA OSSが日本語機能の拡充を、NTT OSSセンタがエンタープライズ系の機能拡張を行ってきた。OSS-DBMSとして、国内最大のユーザー数を誇る。商用と同等の性能をもつ一方で、OSSなのでライセンス自体の価格は無料。100~200台のサーバーを使う環境の場合、商用DBはライセンスだけでも3億~5億円はかかる。
先日発表されたオラクルによるインテルの「Itanium」プロセッサ向けのソフトウェア開発打ち切りなど、商用DBはリスクが高い。海外ではYahoo、米ボーイング、ニューヨーク証券取引所、国内ではJTB、住友電気工業、NTT研究所、カプコンがPostgreSQLを採用している。LPI-Japanの成井理事長は「クローズドソースでの差異化は、企業・技術者の観点からも無理。Google、Yahoo、Amazonなどは差異化のためにOSSのLinuxを利用していて、これはDBMSにも当てはまる」と力を込める。
LPI-Japanは、NTT OSSセンタ、SRA OSSのサポートを得て、OSS-DB認定制度を開始した。Linuxだけでなく、DBMSでも企業・技術者の競争力を世界レベルで高めることを目指す。成井理事長は、「イメージカラーは、オラクルのコーポレートカラーの補色である緑を選んだ。オラクルの技術者がOSSの技術をもつとよりすばらしい仕事ができる、補完関係をつくりたい」としている。
PostgreSQLはオラクルをはじめとする商用DBとの親和性が高く、移行先として選定されることが多い一方で、OSSミドルウェアの技術者は非常に少ない。市場で必要とされるDB技術者は、商用DBも含めて知識を蓄積し、最適なDBシステムの提案・構築ができる人材や、OSS-DBの優位性を生かしたミッションクリティカルシステムの構築ができる人材だ。
OSS-DB認定試験では、こうしたミッションクリティカルシステムでのOSS-DBの運用ができる技術者を育成する。OSS-DB技術者のスキルを客観的に見える化し、安心してOSS-DBを採用できる環境を整える。
SRA OSS,Inc.日本支社は、2004年に今回の認定試験の前身となる認定制度「PostgreSQL CE」を開始した。今後はアカデミック認定校第一号として、技術者トレーニングに注力する。石井達夫社長は「エンジニアのレベルを客観的に評価する指標がない。採用にとっても、基準がないとまずいので認定制度を開始したが、将来は公的な立場の団体に移管したいと考えていた。今後、OSS-DBの強力な推進役として活躍してくれることを期待している」と話した。
2006年開設のNTT OSSセンタは、NTTグループの社内システムや顧客に提供するシステムでOSSを活用する際の技術支援を行ってきた。木ノ原誠司センタ長は、「PostgreSQLが普及して、人材不足が顕在化した。OSS-DBもミッションクリティカル系に使えるようになっていることから、人材育成やコミュニティ活動、技術レベルを上げることで貢献したい」とコメントした。(鍋島蓉子)
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