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「SuiteWorld 2011」レポート 米ネットスイートのザック・ネルソンCEOが戦略の方向性を語る
2011/05/13 22:26
──「SuiteWorld 2011」では、新製品やSIer、ISVとの協業、導入事例など複数の気になる発表がありました。
ネルソン 一番の目玉といえるのは、いわゆる大企業で「NetSuite OneWorld」が受け入れられてきたという事実です。いままでのユーザープロフィールを塗り替えるという意味では、クアルコムやグルーポンなどの大企業がユーザーになりました。
もう一つ、傾向として特記してほしいのは、従来のチャネルがクラウドに移行してきているという点です。例えば、日本では富士通がネットスイートの流通を担っています。米国では、こうした大きなパートナーのクラウド事業の展開がなかなか進んでいませんでした。ですから、今回発表したアクセンチュアとの協業は、非常に重要な意味をもっています。ようやくグローバル級の大型SIerがクラウドに取り組むことになった象徴だといえます。
──米国で、大型SIerのクラウドへの取り組みが遅れていたというのはなぜでしょうか。
ネルソン 私の考えでは、富士通の場合、もともと流通のパートナーシップを結んだときに、2層ERPがどのように利用されるのかについて、かなりしっかりビジョンをもっているという印象を受けた。富士通は、早いうちからクラウドのトレンドを読み取っていたのでしょう。日本企業は、海外展開でクラウドを利用するという自然なニーズがあると考えています。
米国の場合は、本国で事業を展開していれば売り上げが立つので、2層ERPのニーズがでてくるのが遅かったと思います。それでも、ようやくクラウドが広まる土壌ができあがってきました。大型SIerであるアクセンチュアやMcGladreyなどが、クラウドの流通を助けることになります。
NECとの協業は、グローバルレベル。最終的には製品面だけでなく、流通のパートナーになる予定です。2層ERPなので、ネットスイートは中堅企業向け、、本社はOracle、SAPを利用するというような展開になります。
──「NetSuite Unlimited」は、これまでのサービスと、どこが違いますか。
ネルソン 新製品は、大企業向けにデザインした「Netsuite」のバージョンだととらえていただきたい。要は、Netsuiteの機能を大企業で使えるよう、パッケージにまとめたところが従来と違うところです。
大方の中堅ユーザー企業は、Netsuiteが提供する機能のうち、自分の企業にいいところを取って利用しています。一方、大企業は要求が違う。彼らはすべての能力をフルで発揮することを望んでいます。ですから、中堅企業向けの製品ではストレージに制限がありましたが、新製品ではこれを取り除きましたし、システムに乗せられるサードパーティのアプリの数も、中堅企業向けでは限りがあったものを、大企業向けでは撤廃しています。
──価格について教えてください。
ネルソン 一番下のレベルでも100万ドルを超える値段がついていますが、これは500ユーザーを含んでいます。Netsuiteの別バージョンという位置付けですが、コードベースでは共通しているので、エントリーレベルの中堅企業でも大企業と同じようなアプリを利用することになります。
中堅企業は機能を限定して利用し、大企業はこれをすべてオンにする──これによって、より幅広い、多くのユーザーをサポートできるはずです。中堅企業から大企業までを、単一のコードベースで、すべてサポートできることが素晴らしい点だ。
──新たにオラクルの「Oracle Exadata」をサポートしたわけですが、このほかに、例えばマイクロソフトの「SQL Server」とつないで中小企業向けに提供するなどのソリューションは考えていないのですか。
ネルソン 現在は、今は、オラクルのテクノロジー100%でアプリがつくられています。オラクルのデータベースとアプリケーションサーバーに依存していて、SQLのような別のデータベースをサポートすることは非常に大きな再構築を伴う作業になります。ただ、大型のネイティブのクラウドアプリというのは、ほぼすべてオラクルで開発しており、オラクルを使っていればリッチなウェブベースのアプリを開発することができます。
ほとんどのユーザーは、高い価格ゆえにOracleを利用できません。しかし、Netsuiteが提供しているマルチテナントの環境を用意することによって、いままで手が出せなかったOracleを、中小企業でも利用できるようになりました。
──今後の取り組みについて、どのようなことを考えていますか。
ネルソン 米国でやってきたことを他国でも展開していこうと考えています。今年か来年あたりには、日本でも「SuiteCloud」のデペロッパーカンファレンスを開催し、ISVのプールを大きくしていきたいと思っています。
──どうもありがとうございました。
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