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【被災地レポート】大手ITメーカーは全社で対応、物流とガソリン調達に苦労も
2011/04/19 10:26
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わずか4分で対策会議を立ち上げた日本IBM
すでに新聞やインターネット上で話題になっているが、日本IBMは東日本大震災が発生した3月11日、最初の大きな揺れからわずか4分で全社の関係者を招集して電話による遠隔会議を開き、同時に副社長を本部長とする全社災害対策本部を立ち上げた。同社は震度5強でこのような対応を取るよう社内で定めているが、地震後の対策で陣頭指揮を執る梅林悟理事GTS事業MTS事業部長は「今回ばかりは体感でわかった」と語る。「当社は毎年1~2回、大規模災害を想定した訓練を行っている。震災が起きたことを想定し、瞬時に関係者が遠隔会議を開き、どんな情報を収集すべきかを議論している」。だからこそ、4分という短時間で動くことができたのだ。遠隔会議は、通常の電話回線ではなく、非常用の専用回線で行う。電話が不通となった震源地付近との電話会議も、この専用回線によって実現した。会議に招集されたのは、全国5地区の技術部の部長と本社災害対策推進室の責任者、リモートサポートセンター、部品センター、後方支援部隊の責任者、コールセンター業務を行う豪州のマネージャーなど、総勢40~50人に及んだ。
会議は、まず全国に散らばる社員やパートナー会社社員の安否確認から始まり、次に主要顧客の被害状況の確認に追われた。会議中に主要顧客の被害状況の確認作業をした仙台駐在の木村満城MTS事業東日本第二地区技術部東北技術部長は、「東北地区のスタッフの安否確認は、当社で使っている安否確認メールを発信して、これに返答するかたちで行った。1時間程度で無事を確認できた」という。この安否確認メールも専用回線だ。
東北地区のスタッフは顧客の被害状況を確認し、その状況に応じて、破損したコンピュータ部品や代替機などの調達を、遠隔会議を通じて開始した。木村部長によれば、東北地区の主要顧客、約30社のうち、いまだに連絡が取れないのは3社。いずれも津波被害が大きかった宮城県の仙台市若林区と石巻市、岩手県大船渡市の会社だ。
木村部長は東北地区の被害状況を、「主要顧客のうち10社は、データセンター内に自社システムがあって、自家発電で継続稼働した。また、データを蓄積したディスクが海水に浸かり、データ復旧の依頼が数件あった。一部ではサーバーが倒れたり、天井が落下したりしてシステムに影響が出た。なかには、免震措置を講じていたサーバーですら、倒れてシステムがダウンしたケースもある」と報告してくれた。この状況を聞いて、木村部長は改めて今回の地震の破壊力を思い知ったという。
災害への対応は迅速で、準備した通りに進んだ。しかし、そんな日本IBMにも、「想定外」のことがあった。それが物流網の寸断だ。梅林理事は「部品を調達し、東京などから現地へ運ぶにも、物流網が寸断されていて届けられない。仮に当社の事業所まで届けることができても、今度はそこから顧客までのクルマのガソリンが心配。これは想定外で、あわてて別ルートの確保を急いだ。初めての経験だった」という。
ルート確保は難航したが、新潟から現地までのルートを突き止め、部品などに加え、現地で使うガソリンを積んでトラックを走らせた。現在は、こうした届けられた物資や部品、代替機などを顧客に届けて、仙台の技術スタッフが対応に追われている。梅林理事は「震度5強の地震が発生すれば、顧客のシステムに何らかの影響が出る。それでも、今回の地震で対応した顧客は、平常時から2~3割増えた程度だった」と話す。日本IBMが構築したシステムが、いかに堅牢だったかが分かる。
OCAは南三陸町防災庁舎でOKIグループ社員に犠牲者も……
金融、官公庁・自治体、ライフラインなど、震災時に優先的に復旧・復興が求められるITインフラを多く手がけるOKIグループは、日本IBM同様、最初の地震から約7分で全社の対策会議を立ち上げた。グループのなかで、東北地区で最も多くの人員を抱える沖電気カスタマアドテック(OCA)の東北支社は、震災発生時、約120人の営業スタッフがもつ携帯電話のGPSなどを使って安否を確認。3~4時間で確認を取った後は、顧客対応に追われた。OCAの松藤研東北支社長は「金融機関には、当社のATM機器が多く設置されている。沿岸部では銀行の多くが津波に襲われ、設備が損壊したり、水に浸かったりした。ATMには現金が入っているわけで、これを一時的に引き出す作業を行った。被害が甚大なATMは大型重機を使う必要があるなど、この作業は困難を極めた」と、生々しく現状を語った。
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外部リンク
日本IBM=http://www.ibm.com/jp/ja/
沖電気カスタマアドテック=http://www.oca.co.jp/