伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、既存サービス商材のクラウド対応を急ピッチで進めている。2012年度(13年3月期)に、クラウド関連事業の売上高を10年度見込みの2倍余りの700億円に増やす目標を掲げ、企業ポータルなどフロントエンド系や、ストレージなどバックエンド系のSIやサービスメニューの刷新に力を入れる。「所有から利用へ」の適応で売り上げを伸ばす考えだ。
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亀田積部長 |
CTCのクラウド対応は、フロントエンド系とバックエンド系に分かれる。フロントエンド系では、過去10年余りにわたって累計20社、およそ2万ユーザーに向けて提供してきた企業ポータルサービスの実績をもとにクラウドコンピューティングに対応。新たに「cloudage portal(クラウデージ・ポータル)」を立ち上げた。2010年10月に策定し、CTCのクラウドサービスの総称である「cloudage」と一体感がある名称にした。
バックエンド系では、2008年からサービスを始めたサーバー仮想化・統合化コンサルティングサービス「SOIDEAL(ソイディール)」にストレージ統合コンサルティングサービスを追加。大規模なプライベートクラウドを構築する企業ユーザー向けにコンサルティングサービスを提供するもので、「複数のハードウェアから最適な組み合わせを提案する」(小岩井裕・インフラソリューション企画推進部ソリューション企画推進第2課長)と、SIerの中立的な立場を生かす。向こう数年を見据えたエンタープライズクラウドのコンサルティングサービスを手厚くすることで付加価値を高め、受注確度を向上させる狙いもある。
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小岩井裕課長 |
クラウド対応ポータルの「cloudage portal」では、SalesforceやGoogle Appsなど他社サービスや、顧客の基幹系プライベートクラウドとの連携に加えて、CTC自身が提供するグループウェアや文書管理、ワークフローなど、約40種類のSaaS型サービスにも順次対応させる。「ポータルのポジションを得ることで、自社サービス商材の拡販に弾みをつける」(亀田積・流通システム第5事業部ビジネスソリューション第8部長)と、顧客単価のアップに努める。「cloudage portal」は向こう3年で、新規顧客を10事業所、3万ユーザーの獲得を目指す。(安藤章司)