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ITホールディングス 多様性重視、シェア狙う クラウド/SaaSの基本戦略に

2010/07/15 10:13

週刊BCN 2010年07月12日vol.1341掲載

 大手SIerのITホールディングス(ITHD、岡本晋社長)は、グループ総当たりでクラウド/SaaS型サービスのメニュー増強を図る。ITHDグループの基本戦略は、クラウド/SaaS市場が拡大期にある今、グループ各社それぞれの得意技を生かしたサービスメニューを開発することにある。市場が拡大し、寡占化フェーズに入る段階では、コスト競争力やサービスメニューの整合性を高め、シェア争いに打ち勝とうという狙いだ。

 ITHDグループのクラウド/SaaS型のサービスメニューは直近でおよそ30種類、クラウド対応のミドルウェア基盤は4種類に増えた。インテックは信用金庫などの金融機関向けの業務システム、TISは欧州基準のREACH規制に基づく電気・電子機器の化学品管理データベースサービス、クオリカの流通POSシステム、ユーフィットは給与計算サービスなど、それぞれ強みとする業種・業態を狙ったサービスを相次いで投入。ミドルウェア基盤も、TISやインテック、ユーフィット、クオリカがそれぞれ独自に開発する。

 一見、散漫にみえるサービス開発だが、実は「ITHDグループならではの“戦略”」(ITHDの荒野高志・執行役員事業推進本部長)と明かす。同グループは多数の有力SIerが結集した企業体であり、それぞれの独自性、強みを生かしやすい。自身のユニークさをクラウド/SaaSビジネスにも応用する。

 マーケティング戦略の観点からみても、今、市場が拡大フェーズにあるクラウド/SaaS商材は、何よりも多様性が求められる。携帯電話の普及期、さまざまな形や機能を持った機種が出回ったのと同じ構造だ。同社の黛文彦・事業企画部長は、「ビジネスのリスク分散の観点からも、多様化は必要」と、市場トレンドへの適応や潜在ニーズを発掘するのに有効だと話す。サービスメニューは、「今後も増える可能性がある」(同社の砂山広行・事業企画部主任)とみる。市場が成熟期を迎えるまでは、グループの多様性を生かした事業を展開する。

 2015年に向けたITHDグループの事業方針では、従来の受託型のソフト開発などの既存事業に加え、クラウド/SaaSをはじめとする新規事業や、海外進出事業を重視。クラウド/SaaSは海外事業とも密接に絡む。グループ各社のビジネス戦線を分析し、より高い成長率・利益率が確保できる領域でシェアを獲る体制づくりを急ぐ。(安藤章司)

写真左から黛文彦部長、荒野高志本部長、砂山広行主任
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