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JCSSA、セミナー開催、セキュリティビジネスと情報システム取引者育成
2010/06/10 10:13
最初のプログラムでは、三輪信雄S&Jコンサルティング代表取締役が「セキュリティビジネスはこう変わる ~クラウドで激変するセキュリティサービス」と題して講演。手掛けてきたビジネスを振り返るとともに、国内のセキュリティサービスビジネスの変遷を解説。海外と日本のセキュリティビジネスの実態を比較し、ユーザーのセキュリティに対する認識と、これからのセキュリティビジネスについて語った。
三輪氏は「これまで、セキュリティ製品・サービスを提供してきたメーカーは、ウイルス感染や情報漏えい事故などを並びたてて、『危ないのでこの製品を買ってください』という『ホラー営業』をしてきた。基本的に、何かがあってビジネスチャンスが訪れる業界なので、被害待望論とは表裏一体だ」と語った。
IPAの調査をもとに、06年ごろから09年予測を踏まえた日本のセキュリティ市場規模をみると、緩やかなカーブで上昇していたものの、09年に若干落ち込みを見せた。成長率は個人情報保護法施行前後をピークとし、低迷しつづけ、09年にはマイナス成長の予測が出ている。
これからのセキュリティ業界について、三輪氏は「これまでのように単体でセキュリティ製品やサービスをユーザーに売るのではなく『セキュリティが確保された何か』といった形で、セキュリティは自然にインフラになってくる。今後はクラウド、スマートフォンに絡んだセキュリティがビジネスの主戦場となり、あるのかないのかわからないが、確実に保護されていることを担保するような、利便性の高いセキュリティが求められる。これを、SIerなどが主導していくことになる」と展望を語った。
続いて壇上に立った板東直樹アップデートテクノロジー社長が、現在JCSSAとCSAJ(コンピュータソフトウェア協会)が共同で進めているシステム開発の契約関連にかかる資格「情報システム取引者育成プログラム」の概要を説明した。
講演で板東氏は、「情報システム取引者育成プログラムは、信頼性の高い情報システムの構築を実現するために経済産業省が発表したモデル契約に基づいて、情報システム取引のリスク、法務的な知識を有する者を育成する取り組み」と紹介。背景として、2005年、東京証券取引所がシステム不具合によって取引停止に陥ったことが社会問題化し、その後、産業構造審議会のもとで情報システムの信頼性に関するガイドラインが公表されたことで、契約事項の明確化やユーザーとベンダーの取引関係の可視化の重要性が高まったことを挙げた。
情報システム取引者育成プログラムでは、経済産業省のeラーニングコンテンツを提供。業界を取り巻く課題と行動指針について、ユーザーとベンダーのリテラシギャップや、現行の取引慣行、法的責任や契約手順までを学べる仕組みで、資格試験を実施し、契約に関する専門家を認定していく。
プログラムは2010年7月にスタート。対象者は経営幹部や法務・総務担当、営業責任者や開発責任者など。板東氏は「モデル契約そのものは、一切変更してはいけないというものではない。テンプレートをたくさん提供して、トラブルを少しでも減らす方向に進めたいと考えている」と締めくくった。
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