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フォースメディア、“シェアPC”端末を発売、「仮想化やシンクラとは違う」
2010/05/21 10:13
「PCシェアリングシステム」は、1台のPCを複数人がシェアする仕組みを構築する専用端末だ。処理能力が余っている“オーバースペック”なPCを、複数人が共同利用する仕組みを構築。PCを有効活用して、PCの購入費用と管理コスト、電気料金を削減するのが特徴だ。
使い方は、シェアするPCに「PCシェアリングシステム」をUSBまたはLANケーブルでつなぎ、この端末にモニタとキーボード、マウスを接続するだけ。専用の管理ソフトで利用設定を行う必要はあるが、数クリックで済む。きょう体のサイズはモデルによって異なるが、最も大きいモデルでも縦15cm×横15cm×高さ3cm程度。デスクに置いても邪魔にならない。
ラインアップは、接続する方式や人数などで3モデルを用意。エントリーモデルでUSB接続タイプの「U-Series」と、LAN接続タイプの「X-Series」と「L-Series」で、価格は1万5000円-3万円を予定している。
コストメリットは、PC30台と「PCシェアリングシステム」30台で比較した場合、機器購入費用で約40万円の削減になるという。また、消費電力が低く、PCに比べて発熱量が少ないので電気代も抑えることができ、年間で約9万円の圧縮になるという。
開発元は米エヌコンピューティングで、日本には現地法人がなく、知名度も実績もほぼゼロだ。しかし、海外では140か国で約240万台を販売した実績がある。池田社長は、その使いやすさと価格、実績に加え、「類似製品がない」点に着目し、5月中旬に代理店契約を締結した。
従業員が使用するクライアント端末を最適化しようとする動きは、ここ最近顕著だ。「デスクトップ(クライアント端末)の仮想化」が注目を集め、シンクライアント需要も再燃しつつある。だが、「PCシェアリングシステムは、どのアプローチとも異なる」と池田社長は説明する。
「シンクライアントや仮想化などを活用したデスクトップソリューションは多いが、導入が複雑で、高価な製品を購入しなければならないものが多いのが現状だ。『PCシェアリングシステム』は、簡単で価格も安い。ITベンダーは提案しやすく、ユーザー企業も購入しやすい」と自信を示している。
一方、米エヌコンピューティングのマニッシュ・シャルマ・アジアパシフィック担当バイスパレジデントは、「CPUやメモリなど、PCの処理能力は年々向上しているが、それらの処理能力を業務で最大限活用する人はほとんどいない。場合によっては、コンピューティングパワーを5%程度しか利用していないPCもある。余剰処理能力を有効活用して、デスクトップ環境を最適化しようというコンセプトが、当社の最大の強み」と主張する。
3モデルのなかでも、フォースメディアが販売に力を入れるのが「L-Series」だ。最近バージョンアップし、描画性能を向上し、シェアするPCのバックアップ機能を備えた。
まずは、中規模クラスの企業と教育機関をメインターゲットに拡販する意向で、これらの市場に強いSIerやITサービス会社と協業し、間接販売網を築く計画。また、「家庭でも利用メリットもある」として、将来はコンシューマ市場にも打って出るつもりだ。
フォースメディアは、プリンストンテクノロジーの創業者で前社長の池田氏が2010年に設立したITベンチャー。法人と個人向けのIT製品を海外から調達、または自社開発して販売する。法人向け製品では、デジタルサイネージ関連製品などをラインアップする。
フォースメディアの池田譲治社長
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