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サイエンティア 大学のほか、民・官も攻める

2009/08/31 21:37

週刊BCN 2009年08月31日vol.1298掲載

SaaS検討など事業領域も広げる

 宮城県仙台市で大学など教育機関向け業務システムの提供で堅調に利益を伸ばしているソフト開発のサイエンティア(荒井秀和社長)は、官公庁や一般企業などもユーザー対象に据えて事業拡大を図る。SaaSなどサービス型モデルに着手することも検討。システムの受注合戦が一段と激しさを増しているなかで、確実に利益を確保できる環境を整える。

 これまで同社がユーザー対象のメインとして捉えていたのは、大学を中心とした教育機関だった。職員向けの人事・給与システムが全国で好評を博しており、約60大学を顧客として獲得している。

 ただ、「大学の業務システム導入のニーズが一巡しつつある」(荒井社長)と分析。そこで、ユーザー層を広げることに決めた。これは、大学の導入ケースを多数もっているためで、「横展開を図ることができる」と判断したことによる。

 また、各地域のインテグレータと組んで拡販することも検討しており、「関西地区でよい感触が得られた」としている。主要顧客である大学に対しては、進めてきた就業やワークフローなどといった管理ソフトの開発が完了したことから、「今が普及期と捉えて、既存顧客(大学)に提案していく」という。

 さらに、公立病院の統合化や法人化などが進みつつあり、「提案しやすいので、この分野ではシステム案件を確実に獲得する」としている。さらに、SaaS事業を模索することで「ミニマムスタートのアピールで、ユーザーが導入しやすい環境を整えていきたい」との考えを示す。

 同社がユーザー層の拡大を図り始めたのは、「IT需要を掘り起こす可能性を見出す」ため。昨年秋からの世界同時不況の影響で、案件を獲得するために低価格路線を突っ走るなど、当たりかまわずのITベンダーが増え始めている。

 荒井社長は「こうしたベンダーと真っ向から対抗するつもりはない」としており、価格競争に巻き込まれないためにも、ユーザー層を広げる戦略を展開していこうとしている。これにより、昨年度(09年6月期)に前年度比10%減となった売上高を「一昨年度並みに戻す」方針を掲げている。
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