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グレープシティ SaaS型サービスで学校法人を攻略 パッケージよりもサービスに力点
2009/04/13 21:30
週刊BCN 2009年04月13日vol.1280掲載
グレープシティはソフト開発ツールの開発・販売に強いが、学校法人向け業務パッケージソフトの老舗メーカーでもある。1983年に学校法人のバックオフィス業務支援ソフト「LeySerシリーズ」を発売。現在は「学校会計」「給与処理」「教務」「学費管理」「資産管理」の5タイトルを用意し、幼稚園から小・中・高校、大学まで幅広く営業をかける。累計の導入校数は2500校を超え、とくに高校に強く、シェアは40%にのぼる。「当社の創業者が元幼稚園の事務担当者で、自らの経験を生かした機能や操作性が高い評価を得ている。学校法人は一般企業とは異なり、会計処理や業務が独特。ニーズに合ったパッケージを容易に開発できる分野ではない」と宮根崇容・レーザー事業部企画部部長は自信を示す。
販売方法は自社営業担当者による直販と、代理店経由の間接販売。代理店は10社ほどで、各地域に強い地元ITベンダーが多いが、全国的に販売力が高いのは大塚商会だという。これまでの実績では直販が全体の約60%を占める。
「LeySerシリーズ」は、2003年には従来のパッケージとしての販売に加え、ASP・SaaS型のサービスとしても提供を開始。累計の導入校数2500校のうち700校はASP・SaaS型サービスのユーザーだ。月額利用型でサービスを販売するが、「解約率は1%を切る」(高橋慎治・レーザー事業部事業部長代理)。今年2月にSaaS型サービス普及促進のNPO団体であるASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム(ASPIC)が開催した「第3回ASP・SaaS・ICTアウトソーシングアワード2009」では「委員会特別賞」を受賞。教育機関のIT市場だけでなく、IT業界全体から注目を集めた。
少子化で市場が縮小傾向にあるなか、今後の販売戦略として、SaaS型サービスの拡販をあげる。既存のパッケージユーザーをSaaS型サービスに移行させるほか、新規ユーザーにはSaaS型サービスを中心に売り込む構え。高橋事業部長代理は、「バージョンアップやシステムのサポートはパッケージよりもSaaS型サービスのほうが当社の負担が軽い。また、サービス型のほうが複数のタイトルを活用してもらいやすく、顧客単価を高められるメリットもある」とその理由を説明する。「以前はデータをベンダーに預けることを不安視していたユーザーが多かったが、今は状況が変わって、受け入れられつつある」と、SaaS型サービスを本格的に販売する時期だと判断している。(木村剛士)
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