ニュース
エンプレックス PBMビジネスを拡大 経済環境に適応
2008/12/15 21:13
週刊BCN 2008年12月15日vol.1264掲載
エンプレックスは、プロセス管理エンジンをベースに、ECやSFA、PBMなど統合型パッケージソフトを開発している。昨年度(2007年12月期)までは、売り上げを伸ばすECやSFA系がビジネスの中心だったが、景気変調が顕在化した今年度に入って、PBM系の商材の引き合いが増え始めた。今期の受注ベースではPBM系がEC系を抜く見込みで、「来年度はPBM系のライセンスの売上高構成比がEC系を上回る」(沢登社長)見通しだという。
PBMは、建設業や情報サービス業、広告業などプロジェクト単位で仕事を進める業種が主な顧客ターゲット。こうした業種は、受注後の収支管理がきちんとできていないと、コストが膨らんで赤字になるケースがある。PBMは受注後の収支管理を行うシステムで、“限られた受注案件のなかで確実に黒字を確保したい”というユーザー企業から引き合いが増えた。情報サービス業では、ソフト開発の進捗状況に応じて、そのつど売り上げを計上する工事進行基準の適用が進んでおり、こうした会計基準の変更も後押しする。
顧客企業は、収支管理に関連して、マーケティング活動の効果にも関心が強く、今後はMRM(マーケティングリソース管理)分野の製品ラインアップの拡充を検討する。MRMとは、販売促進活動や新聞などのメディアに広告を出すなどマーケティング全般に投じたコストが、どれだけ受注や売り上げに結びついているかを管理する仕組み。マーケティング費用を最適化し、利益確保を優先する顧客ニーズに応えることでビジネスを伸ばす戦略である。
景気が底を打ち、回復に向かうタイミングになれば、再びECやSFAなど「売り上げを伸ばす分野のシステム需要が高まる」と見ている。景気動向に左右されないよう、経済環境に合った品揃えを心がけていくことで事業拡大を目指す。今年度の売上高はほぼ前年並みを見込んでいるが、PBM系の受注が伸びていることから来年度は前年度比5%増を狙う。同社は、財務会計などバックエンド系のERP(統合基幹業務システム)とは異なる製品ラインアップであることから、「フロントエンドERPベンダー」と自らを位置づけてビジネスを展開している。
- 1