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OBC TIS EDI分野で協業 「奉行」拡販と共通EDIを構築へ
2007/09/24 22:20
週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載
OBC SaaS型EDIで既存顧客に攻勢
中堅卸業に「奉行V」売り込む
OBCは今年10月、年商300億円以上の中堅企業で利用を視野に入れた最上位版ERPの新製品「奉行V ERPシリーズ」を発売する。従来以上に規模の大きい企業を対象にした製品であるため、これまでのパートナーと異なるSIerとの連携を強め「業種ソリューション」の拡充を急いでいる。その第一弾として、TISと協業し、SaaS型の「ECセンター for 奉行」WebEDIサービスを提供する。 これにより、OBCが中堅卸業やバイヤー(買い手)へ、TISは中小サプライヤー(売り手)へと、双方が苦手としていた市場を開拓できるという。また、XMLベースの専用線でない“汎用的ななEDI”への対応が急務となっている。両社の既存顧客を共通EDIに組み込むことで、バイヤーとサプライヤーのSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を築き、顧客を安定的に確保できるとみている。
「ECセンター for 奉行」は、SaaS型で提供されるため、EC(電子商取引)環境の構築に必要な導入コストや維持負担を軽減する。OBCの岡部貴弘・ERPソリューション推進室室長は「中小企業のサプライヤーは、バイヤーの求めに応じて自社でEDIを構築することに苦労している。データセンターの運用やSCM関連システムの開発実績があるTISとの連携で、こうした課題を抱える顧客層に対応することができる」と、今回の協業メリットを強調する。
現在、OBCの業務パッケージ「奉行シリーズ」を利用する企業のうち、EDIでの受発注管理システムを必要とする200─300社がサポート期間を終了するという。
まずは、この領域へ既存パートナーや新規チャネルを開拓し、共同で売り込む。今後1年間で50─100社のリプレースを目指す方針だ。
一方、OBCがこれまで攻略できなかったバイヤーのうち、300─500億円の卸業の基幹システムに「奉行V」の導入を加速させる。「中堅卸業でも、1割はEDI取引の仕組みを導入していない」(岡部室長)と、中堅卸業を対象にTISと共同で販売を強化。
今年度(2008年3月期)中に卸業3─5社の受注を目指す。
TIS 共通EDI事業化へ
プラットフォームを開発
TISは、共通EDI事業の立ち上げを目指す。これまでは特定のデータ形式でのやりとりしかできないEDIが中心だった。だが、同社が新たに立ち上げたEDIセンターにデータ変換機能を持たせることで複数企業が共通して利用できるようにした。業界標準技術であるXML技術などを使い、データ形式が異なる複数企業間で共通して利用できるよう利便性を高めることで、ビジネスを拡大させる。 EDIは大手企業を中心に幅広く活用されている一方で、中小企業への普及は進んでいない。近年の需要は頭打ちで、この分野で豊富な実績があるTISでさえ、「従来型のEDIビジネスではいずれ限界がくる」(山田英司・ECセンター事業推進室長)と、EDI事業の刷新が求められていたという。
TISは昨年度(2007年3月期)、共通EDIを推進する「共通XML/EDI実用化推進協議会」の実証実験に参加するなど、ビジネスの拡大を模索。複数の発注者と受注者が共通利用できる新しいEDIプラットフォームが必要と判断した。しかし、共通EDIプラットフォームを提供するだけでは、迅速に普及させることは困難で、基幹システムとの連携が欠かせないことも分かり、中堅中小企業向けERPで国内トップクラスのシェアを誇るOBCと組んだ。
まずは、OBCの主力ERP「奉行シリーズ」のユーザーを対象とし、受発注データなどの交換を行う「ECセンター for 奉行」をスタート。ECセンターのサービスは共通EDIセンターの役割を担う。将来的にはXMLなどを活用し、複数の基幹システムとの間でデータ交換をできるようにする。
現段階では受発注データの交換だけだが、この先、品名コード番号などより大量のデータも扱えるようにしたり、データを蓄積して市場動向の分析に役立てることも視野に入れている。ユーザー企業に向けた新たな付加価値サービスを増やしていくことで共通EDIビジネスを拡大する。
共通EDIを巡っては経済産業省も普及を後押しする方針を示しており、ビジネス環境の整備が急ピッチで進むものと期待されている。
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