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キヤノン販売 2010年までの長期経営構想発表 売上高1.1兆円、経常5%以上目標に 4月には「キヤノンマーケティングジャパン」に社名変更

2006/02/06 12:54

週刊BCN 2006年02月06日vol.1124掲載

 キヤノン販売(村瀬治男社長)は、2006年から2010年に向けての長期経営構想を発表した。「年率5-6%の成長率を維持、10年には売上高1兆1000億円、経常利益率5%以上、一株あたり純利益200円を目指す。売上拡大よりも、経常利益率5%以上を重視した経営を行っていく」(村瀬社長)。この構想の一環として4月1日付けで社名を「キヤノンマーケティングジャパン(略称キヤノンMJ)」に変更する。

■05年度決算は各指標とも過去最高

 同社の業績は好調に推移している。1月26日に発表した05年度(05年1─12月)の連結決算は、売上高が8219億円(対前年度比0.8%増)、営業利益が297億円(1.5%増)、経常利益が291億円(19.2%増)、純利益が154億円(24.2%増)で、各指標とも過去最高を記録した。

 事業部門別の売り上げは、オフィス向け製品を中心としたビジネスソリューションが4759億円、コンシューマ機器が2543億円、産業機器が918億円だった。

 今回の実績について、村瀬社長は「ようやくグローバルキヤノンに追いついた」という表現をした。

 キヤノングループは、96年にグローバル優良企業構想を打ち出し、5か年計画を続行してきた。96─00年のフェーズ1、01─05年のフェーズ2を経て、今年はフェーズ3に突入、企業理念は「共生」、スローガンは「革新、そして健全なる拡大を」とし、10年の経営目標としては「主要経営指標全てが世界トップ100社になる」ことを掲げ、売上高5兆5000億円、純利益率10%以上を目指すことを公表している。

 キヤノン販売は、2年遅れの98年から3か年計画を策定、経営革新に取り組んできた。「96年、97年が表面上絶好調だったため、ウミを出しきるのが少し遅れ、00年から02年にかけては赤字転落の屈辱も味わったが、顧客志向を鮮明にし、直販力強化などさまざまな手を打ってきた結果、昨年はグローバルキヤノンに比肩しうる体質ができた」というのが村瀬社長の判断だ。

■「顧客主語」を実践

 キヤノン販売グループの長期経営構想では、ミッションは「グローバルキヤノングループの一員として、マーケティングイノベーションを継続的に行い、くらし、しごと、社会のあらゆる領域で、人々の創造力を支援する最高の価値を提供する」とし、ビジョンは「視野はグローバルに、『顧客主語』を実践するエクセレント企業グループへ」とした。

 重点戦略では、①キヤノン製品事業の国内圧倒的NO.1を実現する②2010年の売上高1兆1000億円、経常利益率5%以上を実現する③キヤノンブランドの一層の浸透と、コーポレイトアイデンティティとしての「キヤノンマーケティングジャパングループ」ブランドの価値向上を図る──などを打ち出した。1兆円時点の事業別売上高は、ビジネスソリューションが6000億円、デジタルフォトが3000億円、産業機器は1000億円を想定している。

 社名変更については、「当社はすでにさまざまなソリューションを販売できる体質になっている。“販売”というと、どうしても大量生産、大量販売時代の一方通行的なイメージがつきまとう。お客様の視点に立ったものづくりへの参画など、名実共に良い会社に生まれ変わろうとの決意を込めて社名変更に踏み切る」と述べた。
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