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韓国 ネットへの悪意コメントを処罰 匿名性の弊害に刑事罰適用か 判断基準あいまいと反対意見も
2006/02/06 12:54
週刊BCN 2006年02月06日vol.1124掲載
問題の発端は林秀卿(イム・スギョン)氏の長男が海外で死亡したという記事が朝鮮日報インターネット版に載せられたことから始まる。
林氏は80年代末、学生運動の中心にあった全国大学生代表者協議会の代表として政府の許可なく北朝鮮を訪問し、「統一の花」と呼ばれた統一活動家だ。林氏の長男が死亡したという事故に対して一部ネティズンたちが度を越す暴言と嘲弄を浴びさせたと林氏はネティズン25人を検察に告訴した。
検察はIP追跡でコメントを書き込んだ人々の身元確認を進めている。ネティズンたちには刑法上侮辱罪または名誉毀損罪が適用される見込みだ。
インターネットが新しい世論形成の広場として位置づけられてから、一部ネティズンたちが主導する悪質コメントが社会的な問題となっている。敏感な時事記事がポータルサイトのニュースまたはインターネット版新聞に掲載されるやいなや、コメントが書き込まれ荒らされることが頻繁に起きている。
匿名性を利用した人身攻撃と名誉毀損はすでに危険な状態にあると憂慮されている。悪質コメントを書き込むネティズンたちを称する「アクプラー(悪+reply+er)」という新造語まで登場した。しかし一部ではインターネットのコメントを悪意によるものと判断し処罰するのは主観的すぎると主張し反対する意見も多い。
問題は少数のアクプラーが無差別的コメントを量産し世論を主導しているという点だ。ポータルサイトのNaverが自社ユーザーを対象に調査した結果によると、ニュースサービスの一日平均利用者120万人のうち2.5%にあたる3万人がコメントを書き込んでいた。彼らが平均12万件のコメントを生産していて、全ユーザーの10%が全コメントの50%を作り出していることが分かった。
総合すると、全ニュースサービス利用者の0.06%である750人余りが毎日20件以上のコメントを生産し、この中の一部はアクプラーの可能性が高いということだ。
Naverは3月から現在のコメントシステムを全面改編する予定だ。推薦機能を導入し、他のユーザーから多くの推薦を受けた優秀なコメントをリストの上に表示させ、良質なコメントを書き込むユーザーを優遇しようとしている。
また特定ユーザーが今まで書き込んだコメントを検索できるようにしたり、またはコメントを書き込んだユーザーのIDをクリックすると本人のブログにリンクするようにしてインターネットの匿名性を解消しようとしている。
ユーザーに自分のコメントに責任感を持たせようという姿勢だが、これとともに今まで議論されていたインターネット実名制の推進もより強力に進められる。多くの人々が匿名性を利用した精神的暴力に対して共感する雰囲気が拡散しているからだ。
鄭載学(ジョン・ジェハク=BCNソウル特約記者)
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