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富士ゼロックスシステムサービス 戸籍手続きのオンライン化に対応 CDCソリューションズと提携 今夏から自治体に提供開始

2006/01/30 12:50

週刊BCN 2006年01月30日vol.1123掲載

 富士ゼロックスの100%出資子会社でSIerの富士ゼロックスシステムサービス(荒牧幸彦社長)はこのほど、アイエックス・ナレッジ(安藤文男社長)、アルゴ21(太田清史社長)などが出資する自治体向けソリューション開発会社のシーディーシーソリューションズ(CDCソリューションズ、中尾宏行社長)と、電子自治体構築に必要なシステム開発で提携した。戸籍手続きのオンラインシステム構築に必要なLGWAN(総合行政ネットワーク)と戸籍システムを連携させるシステムを開発、今夏をめどに自治体に提供できる体制をつくる。

 富士ゼロックスシステムサービスは、戸籍システムで約1100自治体の顧客を持つ同分野のトップベンダー。e─Japan戦略に沿った自治体の電子化により、戸籍手続きのオンライン化も必要になるが、自社の戸籍システムと連携しLGWANに接続するシステムの独自開発には未対応だった。

 今回、開発コスト削減や開発期間の短縮を狙いに、CDCソリューションズにLGWAN連携システムの開発を委託した。CDCソリューションズでは、自社開発した電子申請連携システムである「e─nexPort」のソフト部品を使用し戸籍システムとの連携を図る。

 すでに開発作業に着手しており、富士ゼロックスシステムサービスにCDCソリューションズの開発要員を派遣した。今年夏までには製品化にこぎ着ける予定で、その後直ちに自治体での実証に入る計画だ。

 富士ゼロックスシステムサービスの戸籍システムはクライアント/サーバー(C/S)型で構成されている。また、e─nexPortはLGWAN接続に対応していないが、新たにその部分の開発を行う必要がある。今後、e─nexPortのソフト部品を使い、自治体ごとのカスタマイズ要求に応えられるようなシステムを開発する。

 これにより富士ゼロックスシステムサービスは、大手ベンダーとの競争が激化している自治体システム分野で、戸籍手続きのオンライン化への対応をアピールし既存顧客の囲い込みを図る。また、戸籍システムでの実績を生かし、「総合的なシステム要求に応える必要もある」(橋伸一専務取締役)ことから、すでに製品化している財務会計や文書管理など自治体向けシステムの拡販にもつなげていく。

 富士ゼロックスシステムサービスの2005年3月期の売上高は339億円で経常利益は47億円。今期も増収増益の見込みという。自治体向けは売上高の半分以上を占めている。

CDCソリューションズ 提携に活路見い出す

 CDCソリューションズは01年10月の設立。資本金は5億3700万円でアイエックス・ナレッジ、アルゴ21のほかウッドランド、情報技術開発、アイネット、松下電工インフォメーションシステムズ、テプコシステムズ、コアサイエンス、日本データコントロールなどソフト開発会社とともにベンチャーキャピタルのジャフコも出資している。

 電子申請ソリューションのe─nexPortを開発し地方の有力SIerと連携して自治体向けに納入することを目指してきた。同システムは情報処理推進機構(IPA)の「マッチングファンド型開発・普及事業」の第1号に採択されたが、総務省が共同アウトソーシング事業推進に乗り出しており今後、自治体独自に電子申請システムなどを構築するケースが少なくなるため、実質的にビジネスの停滞を余儀なくされていた。このため出資するソフト開発会社各社は、今年度に貸倒引当金を計上しCDCソリューションズの経営再建を図るとともに、出向社員の転籍など事業責任を明確にする動きも出ていた。出資企業トップの1人は、「これ以上の信用供与はできない」と語るなど経営再建にむけた自助努力が求められていた。

 e─nexPortはもともと、自治体業務に必要な個別アプリケーション開発に対応するため、機能ソフト部品を提供することも指向している。これが今回、LGWAN接続機能を備える戸籍システムを必要としていた富士ゼロックスシステムサービスの目にとまり約1年半前から共同開発の検討を進めてきた。
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