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BBモバイル 携帯電話を使った低コストの本人認証を開発 セキュリティ市場に「価格破壊」を

2005/11/14 12:44

週刊BCN 2005年11月14日vol.1113掲載

 ソフトバンクの100%子会社で携帯電話事業を展開するBBモバイル(孫正義社長)は、独自開発した認証セキュリティシステム「SyncLock(シンクロック)」を、来年4月からシステムインテグレータ(SI)を通じ法人向けに販売する。シンクロックは、携帯電話端末の固体識別番号を鍵にして、認証サーバー上で本人の特定と接続認証を行うシステム。新たに認証用のメディアを購入することなく、高額な機器投資も必要ないことから、「認証市場に価格破壊を引き起こし、これまでのセキュリティの概念を一変させることのできるシステム」(中島啓一・ソリューション事業本部本部長)として、5年後にセキュリティ関連のシステム構築の3割にかかわる事業規模を目指す。

 シンクロックは、BBモバイルが独自開発した技術。一般の携帯電話端末とパソコン上のアプリケーションを認証サーバーを介し同期通信(シンクロ)させ、重要度に応じた任意の認証を重ね、データファイルの暗号化(施錠・開錠)と管理を行う。データの暗号化処理に際しては、暗号認証やQ&A、指紋、声紋などの認証の中から組み合わせ、認証強度を調整できる。

 利用方法は、携帯電話を鍵として登録し、パソコンにアプリケーションをインストールするだけで、「パソコン内にデータファイルの内容や目的に応じて、堅固なセキュリティ環境をつくれる」(中島本部長)。また、頻繁に利用する端末や重要度の高い特定の業務環境には、ローカル認証を組み合わせ、簡単にセキュア環境を構築できるのも特徴の1つだ。

 10月中旬からは、同システムの第1弾として、個人向けの「SyncLock Personal(シンクロック・パーソナル)」の提供を開始した。ASP(アプリケーションの期間貸し)型であるため、利用料金は月額約500円と安価である。

 法人向けサービスとしては、マルチ認証システム基盤の上に業務用アプリケーションプラットフォームと管理システムを搭載した「SyncLock Enterprise(シンクロック・エンタープライズ)」と、ASP型で導入できる簡易型の「同Professional(プロフェッショナル)」を4月から提供する。

 法人向けは当初、3、4社のSIを通じて間接販売する。SIは同システムと自社のVPN(仮想私設網)などセキュリティシステムと組み合わせ、企業へ提案していく。

 一般的にバイオ認証などを含めた情報管理システムを構築するには、高額の投資が必要になる。利用環境の制限事項も多く「規制を増やして自由度を制限する」ケースが多い。「当社のシステムは、携帯電話で認証する仕組みなので、一般的な情報管理システムに掛かる費用に比べ、格段に安い」(中島本部長)という。

 同社は今後、電子署名やVPNアクセス、入退室管理、機密文書書庫、共有フォルダ、重要文書専用メールボックス、データベースアクセスなどの環境と同システムを組み合わせセキュアに認証するソリューションを、SIなどと共同で開発・提供する予定で、同システムを利用してあらゆる企業システムやサービスなどへ拡大する。

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