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「PODジャパン・コンファレンス2005」開催 各社POD市場の成長に自信 PODの将来についてディスカッション
2005/10/17 12:40
週刊BCN 2005年10月17日vol.1109掲載
■複写機メーカーも参入

現在の主な用途は、少量生産用のマニュアル、納期が厳しい新製品のカタログ、CRM(顧客情報管理)などグループごとに内容を変えるDM(ダイレクトメール)印刷、チラシの分散印刷などである。
オンデマンド印刷機のメーカーとしては、既存の印刷機材メーカーに加えて、複写機メーカーなどが参入を始めており、競合は激化の一途をたどっている。当面、ワールドワイドで見ると、今回の基調講演に参加したHPのインディゴ・デジタル・プレス・ディビジョン、富士ゼロックス、コダックのグラフィックコミュニケーションズグループなどが市場をリードしている。

基調講演とパネルディスカッションは、①紙は今後も重要な媒体であり続けるのか、②なぜデジタルプリントテクノロジーに高いアドバンテージが期待できるのか、③クロスメディアマーケティングの在り方、④CRM戦略――などをテーマに行われた。
■商業印刷が最も高い伸び
市場の現状については、EFIのガイ・ゲットCEOが、「デジタル印刷のマーケットとしては、個人や家庭で利用するパーソナル環境、オフィスなどで複数の人間が共有するワークグループ環境、印刷業者や社内の出力センターなど専任スタッフを置いているプロダクション環境に分けて捉えることができるが、市場規模が圧倒的に大きいのはプロダクション環境だ。世界規模でA4換算の印刷枚数を推定すると2004年で761億枚の規模になり、88%はプロダクション環境で印刷されている。国別に見ると、米国が49%、西ヨーロッパが18%、日本が11%を占める」と総括した。

具体的な数字については、HPのアロン・バルシャニ・インディゴ・デジタル・プレス・ディビジョンバイスプレジデントが、「HPの前年度売上高は850億ドルだが、複写機/プリンティング事業を担当しているインディゴ・デジタル・プレス・ディビジョンは260億ドルの売り上げだった。家庭、オフィス、エンタープライズ市場をターゲットにしてきたが、第4の柱としてグラフィックアート、いわゆるプロダクションサイトに注力を始め、伸び率は最も高い」と言及した。
また、市場動向については、富士ゼロックスのアーノルド・リンクウェット・マーケティングオペレーション&グラフィックアーツ製品サービス事業グループゼネラルマネージャーが、「ワールドワイドで見ると、エンドユーザーが支出する印刷経費は1兆2000億ドルといわれる。グラフィックコミュニケーションなど新しい技術、新しいビジネスモデルを確立すれば、市場規模は2倍になるだろう。富士ゼロックスはこの10年市場のリーダーとしてやってきたが、ここで学んだことはオフセット印刷の代替をアピールすることでなく、PODはオフセットとは補完関係にあるということだ。PODは、印刷だけでなくもっと可能性の世界を開くことができる」と指摘した。
■2010年に新たな波

また、富士ゼロックスのリンクウェット・ゼネラルマネージャーは、「エンドユーザーの声をもっと適切に理解することが必要だ。金融、製造業など業種によってニーズは異なるので、ワークフローまで含めて業種の知識を高めていかなければならない」と指摘した。
コダック社グラフィックコミュニケーションズグループのカゼム・サマンダリ・トランザクション&インダストリアルソリューションズグローバルセールス&マーケティングエグゼクティブバイスプレジデントは、「PODでは、マーケティング、経理などさまざまな部門が関与してくるようになった。これが商談に時間を取られる1つの要因になっている。コストも安いし、きれいだし、早いということをもっとわかりやすくユーザーに伝える努力が必要だろう」と述べた。
将来については、コダックのサマンダリ・エグゼクティブバイスプレジデントが、「2010年頃に新しいイノベーションが起こり、書籍や新聞もPODの対象になるだろう」と指摘したのが注目された。
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