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アイティフォー 業種横断へ意欲 アライアンス強化で新規市場へ

2005/01/03 21:28

週刊BCN 2005年01月03日vol.1070掲載

 システムインテグレータのアイティフォー(須賀井孝夫社長)は、アライアンスをベースとした業種展開を来年度(2006年3月期)にも本格化させる。同社はこれまで流通業や金融業に焦点を絞り、直販を主体としたビジネスを展開してきた。だが、業種の垣根を超える情報システムの需要が高まってきたことなどを受けて、流通・金融以外の業種に強いシステムベンダーなどとアライアンスを組み、新規市場へ進出する。

 アイティフォーは、流通業向けトータルパッケージソフト「リッツ」や金融業向けの債権管理システムなど、パッケージソフトの自社開発に力を入れてきた。これらのパッケージソフトは、アイティフォーによる直販を主体としており、業種の専門知識を持つ同社の営業や技術者の手によって直接顧客企業へシステムを納入してきた。

 だが、今後は業種横断的な需要に対応するため、特定業種に強いシステムベンダーなどとのアライアンスを強化する。「すでに何件か検討を進めている」(須賀井社長)と、具体的なアライアンスに向けて話し合いを続けているという。

 同社が流通・金融以外への進出を狙う背景には、業種の垣根を超える情報システムのニーズが高まっていることが挙げられる。例えば、スーパーなどの流通小売店が積極的に取り組むポイントカードなどの“カード戦略”では、航空会社のマイレージサービスとの連動や、携帯電話のポイントサービスとの連動など「異業種を巻き込んだ取り組み」(同)が盛んだ。

 競争が激しい流通業では、ある地方の商圏をまるごと囲い込むようなカード戦略を持たないと生き残れない。見方を変えれば、これまで流通業にしか売れなかった情報システムが、他の業種に展開できるビジネスチャンスになる。カード戦略に見られるように、当該商圏に参加する企業すべてが顧客になり得る可能性が強まってきた。

 流通業で培ったカードシステムの仕組みが金融業の顧客からも引き合いが来ているなど、アイティフォーが得意としている流通・金融業の分野でも、その垣根は低くなりつつある。須賀井社長は、「競争が激化するなか、ある地方の商圏をまるごと囲い込むような情報システムを構築しないと生き残れない」と、業種に特化しつつも場合によっては商圏全体で共通する需要にビジネスチャンスの手応えを感じている。

 一方で、これまでは流通・金融に特化した直販をベースにしてきたため、今後どう異業種へ展開するのかが課題となっていた。アライアンス戦略では、アイティフォーが得意とする業種以外に販売チャネルを持つシステムベンダーなどとの連携を進め、業種横断的に求められる情報システムを中心に自社商材の売り込みに力を入れる。
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