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韓国のパソコン市場 ノートも自分で組み立てる時代 メーカー製より20%も割安

2004/10/18 21:11

週刊BCN 2004年10月18日vol.1060掲載

 【ソウル発】韓国ノートパソコン市場にちょっとした新しい風が吹き始めている。組み立てノートパソコンの登場だ。どこの国でもデスクトップパソコンとは違い、ノートパソコンは100%完成品だけが販売されている。だが、この市場に小さな変化の兆しが見え始めた。今年上半期ソウルでは、個人ユーザーを対象にノートパソコンを組み立てるイベントが開かれた。

 このイベントは、組み立てノートパソコン販売・組み立てベンダーとCPUメーカーのインテルが共同企画した。これまでに開催したソウル、釜山に続き、年末まで韓国各地で開催される予定になっている。インテル側もノートパソコン用CPUの販売促進のために、今後もこのイベントを積極的に支援する計画である。

 関心を集めているといっても、ノートパソコンの組み立てはまだよちよち歩き段階に過ぎないのが実情で、デスクトップパソコンのようにすべてのパーツを自分好みで自由自在に購入できるわけではない。現在はまだケースと基板で構成されたベアボーンのようなCPU、メモリ、ハードディスク、ドライブの4つの要素だけを自分好みの仕様で構成できるようになっている。

 組み立てノートパソコンの登場には経済的な要因も大きく作用している。組み立てデスクトップパソコンと同じく組み立てノートパソコンもメーカー製品に比べ値段が15-20%ほど割安であるというのが、“自作熱”を促した要因だ。韓国では不景気が続くなか、消費を減らしているパソコンユーザーたちに、安い値段は大きな魅力となっているというわけだ。

 しかし、組み立てノートパソコンの登場を経済的な面だけで判断するのは難しい。組み立てノートパソコンを欲しがる人の大部分は、経済的な理由より自分に不必要なスペックは減らし、搭載したいパーツや機能はもっと拡大させる目的で組み立てノートパソコンを購入しているからだ。

 まだ月間数百台の販売にとどまっている程度だが、業界関係者らは前向きな姿勢を示している。来年上半期にはマザーボードまで好きなように選択できる第2世代の組み立てノートパソコンを披露し、下半期からは液晶ディスプレイとキーボードまで直接、自分で差し替えられる第3世代組み立てノートパソコンを出荷する計画。また、メーカー製品に比べ一番脆弱な要因と言われているサポート体制も充実させる方針だ。

 組み立てノートパソコンの定着に悲観的な見方がないわけではない。すでにメーカー製ノートパソコンも低価格モデルを出荷しているので、値段的なメリットはそれほどでもないという意見だ。しかし、組み立てデスクトップパソコンが韓国や日本でも地位を確立している現状を見れば、組み立てノートパソコンの登場が、パソコン業界関係者たちの注目を集めているとしても不思議ではない。鄭載学(ジョン・ジェハク=BCNソウル特約記者)
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