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マイクロソフトのサポート期間延長 買い替え先延ばしなど、ビジネスに影響の懸念 システムインテグレータの戦略転換も

2004/06/07 20:49

週刊BCN 2004年06月07日vol.1042掲載

 マイクロソフト(マイケル・ローディング社長)の製品サポート期間が最短3年延びることで、システムインテグレータなどの間でビジネスへの影響を指摘する声が挙がっている。マイクロソフトは6月2日からサポート期間の延長を実施した。「オフィス2000シリーズ」では、現行の2006年6月末から09年6月末へと3年延びる。システムインテグレータからは、「最新オフィスへの買い替えが先送りになる」との指摘がある一方で、「サポート期限を当てにした営業を見直すチャンスになる」と、前向きに捉えるシステムインテグレータもある。

 今回の見直しで、従来の製品サポート期間が製品発売から最短7年だったのを最短10年へと3年間延びたことを受けて、「今後、一部の顧客企業のなかには、新製品への買い替えを先延ばしする動きが出るかもしれない」(システムインテグレータ関係者)と、多少なりともビジネスに影響が出るとする声がある。

 この背景には、システムインテグレータのなかに、サポート期限を足がかりとして、最新版への移行による販売促進活動を展開しているケースが多いからだ。これまでもユーザーに対して、今年12月末でセキュリティ更新プログラムの提供などのサポート期間が終わる「ウィンドウズNTサーバー」を、「ウィンドウズサーバー2003」などの新製品へ移行させるキャンペーンが盛んに行われてきた。

 サポート期間が大幅に延びることで、こうした移行キャンペーンのタイミングも先へ延びる。今回のサポート期間延長は、すでに延長サポートフェーズに入っているウィンドウズNTサーバーなどは対象外となるため、直近での影響は少ないと見られているが、今後、どれだけ影響が出てくるのかは未知数だ。

 サポート期間延長の対象となるウィンドウズ2000サーバーでは、2007年3月末のサポート期間が最短で10年6月末まで延長される。オフィス2000シリーズも06年6月末が09年6月末まで延びる。

 これまで、サポート期間が終わるタイミングで更新需要を喚起してきたインテグレータのなかには、これまでの売り方の見直しを進める動きが出始めている。

 「顧客企業が求めているのは、企業価値を高めるためのソリューションであり、マイクロソフトのサポート期限は本質的な問題ではない」(システムインテグレータ関係者)とし、これまで、サポート期限終了が近づくにつれてマイクロソフト製品の買い替えをうながしてきた習慣を抜本的に改める必要性を指摘する。

 セキュリティを担当するマイクロソフトアジアリミテッドの奥天陽司・グローバルテクニカルサポートセンターセキュリティレスポンスチームマネージャは、「セキュリティの確保は企業市民としての義務」と位置づける。万が一、サポート期間延長で買い替え需要が先送りになったとしても、サポートを通じて「セキュリティ確保の義務は果たす」(奥天チームマネージャ)と、ビジネスよりもセキュリティを優先しているという。

 システムインテグレータなどにとっては、これまで当たり前のように行われてきたサポート期限を足がかりとした営業を改め、新製品への移行を促すために、その機能を生かしたソリューション提案を基盤とした営業手法へと一本化するタイミングに来ている。
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