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アイティフォー 流通業をターゲットに要素技術の統合で差別化 ネットワーク事業の落ち込み補う

2004/05/24 20:47

週刊BCN 2004年05月24日vol.1040掲載

 アイティフォー(須賀井孝夫社長
=写真)は、流通業向け統合システムをテコに事業拡大を目指す。これまで、POS(販売時点情報管理)や債権管理、CTI(コンピュータと通信の融合)など個別システムの販売に注力してきたが、今後はこれら製品群を統合した“流通業向け統合システム”を、「今年度(2005年3月期)の主力にしていく」(須賀井社長)方針だ。アイティフォーは、ネットワーク通信機器分野に強いシステムインテグレータとして伸びてきた。だが、ここ10年の間にネットワーク機器の単価下落などの影響を受け、最盛期年商50億円弱まで拡大したネットワーク事業は、昨年度(04年3月期)20億円まで縮小した。

 一方で、ネットワークの落ち込みを補う新しい事業の柱として力を入れている分野が流通業向けの統合システム。同社は、POSシステムや金融業向け債権管理システム、CTIシステムなど得意とする要素技術を投入し、これら製品群を統合したシステムとして今年3月、流通業向け統合システム「リッツ」の名称で本格的な販売に乗り出した。

 須賀井社長は、「総合小売店や大型スーパーなどの流通業は、物販だけでなく、自社でクレジットカードを発行するなど金融ビジネスも積極的に展開している。他にもオンラインショッピングやコールセンターの運営、顧客情報を守るセキュリティなど統合的な情報システムが求められている」と話す。金融ビジネスには債権管理システム、コールセンターにはCTIシステムと、得意分野である要素技術を統合することで差別化を図る。同時に流通業の需要にマッチするシステムをワンストップで販売する。

 これらに加えて、EC(電子商取引)やセキュリティ分野でも商材拡充に努めている。3月から受注を始めたアイティフォー独自開発のECパッケージ「アイティフォレック」の市場投入に続き、4月7日には顧客情報など重要データが社内から漏れることを防ぐ「個人情報漏洩対策統合システム」を発売した。また、顧客情報の管理に欠かせないCRM(顧客情報管理)システムに関しては、4月14日付でメモレックス・テレックスから営業を譲り受けた。

 長年同社の主力ビジネスだったネットワーク事業は、「ほぼ下げ止まった」(須賀井社長)とし、今後はネットワーク事業で培ったノウハウや技術を、流通業向けのソリューションに生かすことで事業拡大に向けた相乗効果を狙う。今年度(05年3月期)は、流通業向けのシステム販売の立ち上がりが主な原動力となり、売上高前年度比9.4%増の115億円、経常利益同13.1%増の11億円を見込む。
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