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日立情報システムズ 合併自治体向けの商談が加速 電子申請・申告システムも

2004/03/22 20:24

週刊BCN 2004年03月22日vol.1032掲載

 日立情報システムズ(堀越彌社長)は、今年度(2004年3月期)末までに、「平成の大合併」により誕生する新しい自治体約35団体から、住民基本情報システムおよび税務システムを受注する見通しだ。来年度(05年3月期)は、新たに15の合併自治体からシステムを受注し、累計で50団体に増やす計画を立てる。同時に、電子申請・申告システムの新製品を投入して受注拡大を目指す。

 昨年度(03年3月期)末までは、合併自治体のうち、わずか4団体しか住基情報システムや税務システムの商談がまとまっていなかった。だが、昨年夏頃から商談が加速し、今年度末までには約35団体にまで受注数が増える見込み。合併特例法の期限切れとなる05年3月末までに、全国の合併自治体数は500団体程度になると見られており、同社はこのうち約50団体から基幹業務システムの受注を目指す。

 商談が急増した背景には、今年度から合併案件が本格化したのに加え、レガシーシステム(メインフレーム)を見直し、オープンシステムへ移行する自治体の動きが強力に後押ししている。同社が開発した自治体向け基幹情報システム「e-アドワールド」は、マイクロソフトの.NETフレームワークを基盤としたオープンシステムを採用している。

 増田勝二・自治体システム本部全国開発支援部第一設計支援グループ主任技師は、「市と町村が合併する際、市の大型メインフレームで町村の住基情報、税務システムを吸収する案が出てくるケースもあった。しかし、低コスト化と拡張性を考え、オープンシステムへ移行しようという動きは強く、新規にオープンシステムを導入する案件が増えた」と話す。

 合併自治体の基幹業務システムの商談は、今年度から来年度にかけピークを迎える。その後、基幹業務システムを刷新した自治体のIT投資は、電子申請・申告などの電子自治体システムへと軸足が移るものと見られている。

 こうした需要を見込み、同社では2月26日付で、電子申請・申告汎用受付システム「サイレカップ」や行政ポータルサイト構築パッケージ「サイポータル」など、電子自治体関連パッケージ製品を追加。これらは既存のモジュールをベースに、カスタマイズなしでも導入できるよう完成度を高めてパッケージ化した。

 同社は自治体関連の情報システムで実績が豊富。合併以前の自治体数で全国約235団体に住基情報システム、税務システムを納入してきた。だが、平成の大合併により自治体数が減り、ユーザーは05年3月末までに200団体を下回る見通し。一方で、これら自治体を人口ベースでみると、合併開始前に比べて120-130%に増える見込み。
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