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ヤフー、検索サイト自社開発に切り換え 検索エンジン戦争激化

2004/03/08 20:24

週刊BCN 2004年03月08日vol.1030掲載

 検索エンジン技術に関した米マイクロソフト、ヤフー、グーグルの3社間の競争が激化してきた。検索エンジンが戦略技術として再認識され始めたからだ。「OS戦争」、「ブラウザ戦争」と並ぶ「検索エンジン戦争」の幕開けともいわれるなかで、前回、前々回の「戦争」同様にマイクロソフトが勝利するとの見方が早くも出ている。

 検索エンジン戦争の幕開けは、2月18日。ヤフーが自社サイトの検索エンジンをグーグル提供のものから自社開発の技術に切り替えたと発表した。

 マイクロソフトも、検索エンジン技術の開発に5億ドルという巨額を投資。ビル・ゲイツ会長も最近の講演で「グーグルにしてやられた」と発言するなど、検索エンジン戦争へ近く参戦することは間違いなさそうだ。

 ヤフー、マイクロソフトが検索エンジンを戦略的技術とみなすようになったのは、1つには検索エンジンが、それ自体で非常に儲かるビジネスであることがわかってきたから。事実、米国のオンライン広告の業界団体によると、昨年7-9月期のオンライン広告市場統計で、検索連動型広告の売上高がバナー広告のそれを初めて上回っている。

 2つ目の理由は、ネット上に十分過ぎるほどの情報が集まり始めてきたということ。ポータルという形で情報を1か所に集めなくても、優れた検索エンジンがあれば必要な情報を的確に見つけ出せるようになっている。ポータル型のビジネスモデルが曲がり角に来ているといえる。3つ巴の戦いが始まったわけだが、3社の戦略は微妙に異なる。

 グーグルの戦略は、検索技術の飽くなき改良。グーグルの米国サイト上では現在研究開発中の技術を試験的に利用できるようになっている。一方、ヤフーは既存のポータルコンテンツに検索コンテンツを融合させる戦略。同戦略に基づく最初のコーナー「ヤフーショッピング」は既に高い評価を得ている。マイクロソフトは、パソコン上とネット上のシームレスな検索を目指す。しかも推測技術を加え、ユーザーの入力中の文章を基に、次に参照する情報を推測しパソコン上とネット上から集めて画面の端に一覧表示する技術を開発中とされている。

 さて、それでは今後どの企業が優勢になるのだろうか。米調査会社フォレスター・リサーチは、マイクロソフトが勝者になると早くも宣言している。フォレスターによると、マイクロソフトが一番優れた技術を開発するわけではないが、やはりパソコン上とネット上をシームレスに検索できる使い勝手を他社は真似できないからだという。

 一方でフォレスターは、グーグルにとって今後はいばらの道になると予測している。OS戦争、ブラウザ戦争の時と同様に、優れた技術を持つ企業が勝つわけではない。よりよい技術を追求するだけでは、グーグルに勝ち目はないとしている。(湯川鶴章)
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