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日立製作所、「EA」専任組織を設置 政府、自治体の受注増目指す

2003/11/17 19:37

週刊BCN 2003年11月17日vol.1015掲載

 日立製作所(庄山悦彦社長)は、政府調達の前提として2006年3月までに導入される業務システム最適化計画「EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)」に対応し、専任組織「EAコンサルテーションセンタ」を公共事業部内に設置した。同センタでは今年中に、同社の情報システム構築手法をEAの観点から再構築した「公共システム最適化ソリューション」を完成させ、今年度(04年3月期)残り5か月で、コンサルテーションだけで約5000万円の売り上げを見込む。将来的には、政府調達だけでなく自治体ビジネスなどにも波及させる考えだ。EAに基づくコンサルテーション専任組織の設置は、大手ITベンダーでは国内初となる。

 同センタは、社内のSE(システムエンジニア)やコンサルタントをメンバーに新設された組織。年内には50人体制にする。特定非営利活動法人「ITコーディネータ協会」の資格認定制度に準じて人材を順次育成し、「05年度(06年3月期)までに1000人にする」(南野猛・EAコンサルテーションセンタセンタ長)という。同社は、官公庁・自治体向けに情報システムを短期間で効率良く構築する手法として、情報システム統合計画技法「HIPLAN(ハイプラン)」やシステム開発方法論「HIPACE(ハイペース)」など、独自の開発体系を持つ。これを整備して業務プロセスを見直し、同ソリューションを構築する。

 「EAに基づき、情報システム構築の上流から下流工程まで一貫したサービスを提供する」(紅林徹也・電子行政事業企画本部カスタマ・リレーションズセンタセンタ長)と、府省庁別のさまざまな案件に対応できる体制を整備する。官公庁では、個別システムの最適化を進めたため、業務の複雑化やITの重複投資などの問題が生じていた。これを受け、03年7月に公表された政府の「電子政府構築計画」では、「EA策定」を全府省に導入することが提示された。

 南野センタ長は、「年間2兆円とされる官公庁・自治体の情報システム市場では、その多くがEAに基づき全体最適化が図られることになるだろう」と、EAに基づく官公庁ビジネスを同社の基幹事業として成長させる意向だ。同センタでは、06年3月まで政府調達に力を入れていくが、その後は「EAに対応した事業強化を図り、順次違う分野に参入する」(紅林センタ長)と、自治体や産業、流通、金融などの分野に拡大する。
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