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スリープロ、デジタル家電の保守サービスに進出 非パソコン分野を拡充
2003/11/17 19:37
週刊BCN 2003年11月17日vol.1015掲載
同社のサポート事業は、ADSLなどブロードバンド網を活用したPOS端末や、ゲームセンターやコンビニなどに設置する情報端末に関する保守サービスがビジネスの中心。しかし、地上デジタルの試験放送が12月からスタートすることなどを受けて、「来年以降は、一般家庭におけるデジタル家電の保守サービス需要が本格的に高まる」(野社長)として、ビジネスチャンス拡大に期待。デジタル家電のサポート事業を開拓していく方針を固めた。
同社の昨年度実績は、売上高が前年度比約64%増の22億円程度に拡大し、経常利益は前年度比約11倍の約1億1200万円になる見通し。「スポット(短期)契約」によるADSL回線の接続や情報端末の設置サービスが増え、スポット契約の売上高だけで前年に比べ3倍に増加した。同社は他に、コールセンターなどの「CRMサービス」や「アウトソーシング」事業を運営しているが、「スポットサービス」が突出して伸びている。
こうした状況について野社長は、「パソコンを中心とした保守サービス需要に加えて、ADSLや情報端末などのブロードバンド関連の需要が急速に高まった」ことを理由にあげている。デジタル家電も、基本的には「ホームサーバー」と同じように、ブロードバンド網を活用することからビジネスチャンスがあると判断。これらを含めて、ブロードバンド関連の保守サービスの一環であると位置づけ、保守体制の強化を図ることにした。
スリープロは、社員約60人の他に、「契約エージェント」と呼ばれる約5万人(10月現在)のサポート人員を擁する。これらエージェントの「再訪問率」(=クレーム率)を、ここ5年間で1%から0・1%へと10分の1に減らすなど、サポート品質の向上にも力を入れている。業績も順調に伸びており、11月5日には東京証券取引所マザーズ市場へ株式を公開した。「株式公開により信用力をつけ、業務提携などを有利に進める。変化が激しいITサポート・サービス業界で事業拡大を目指す」(野社長)考え。
サポート・サービス分野では、他にジェイ・ピイ・エス・エスや横河キューアンドエーなどがあるが、いずれも大手企業のバックアップがある。これに対して、スリープロは、独立系のベンチャーとして、「競合2社と比較して、唯一弱かった部分が(大手のバックアップという)信用。今回の株式公開で、この部分の差異が縮小し、互角に闘えるようになる」と事業拡大に自信を示している。
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