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野村総研 BBの利用、08年末に2100万世帯に 移動体通信の事業収入は頭打ち

2003/11/10 19:37

週刊BCN 2003年11月10日vol.1014掲載

 野村総合研究所(藤沼彰久社長)はこのほど、2008年度末までのIT主要分野の市場動向をまとめ、ブロードバンド(BB)市場、通信市場、放送市場の予測を発表した。それによると、ブロードバンド市場を牽引してきたDSLやCATV(ケーブルテレビ)インターネットは04-05年度をピークにマイナス成長となりFTTHが拡大、携帯電話市場もマーケットが成熟化、移動体通信事業者の電気通信事業収入は頭打ちになるとしている。ブロードバンドはここ数年DSLが爆発的に普及し、今年度末にはDSL、FTTH、ケーブルインターネットを合わせると約1300万世帯が導入。家庭でのパソコン利用世帯は飽和傾向にあることから、市場成長は鈍化せざるを得ないとしている。08年度末には約2100万世帯が導入するが、先進ユーザーは緩やかに光ファイバー通信に移行していく見通しだ。

 野村総研の調査によると、形態別ブロードバンドの導入世帯は03年度末で、DSLが936万9000世帯、CATVインターネットが233万1000世帯、FTTHは76万6000世帯になる見込み。これらに加え、集合住宅での利用や光ファイバー通信への乗り換えがあるため、総計では1314万世帯がブロードバンドを利用しているというのが同研究所の推計だ。

 しかし、パソコンの家庭普及率を考えると今後の成長は鈍化していく傾向にあり、これまでブロードバンドの牽引役だったDSLは04年度から05年度をピークに減少に転じるだろうとしている。

 代わって台頭するのはFTTHで、DSLの先進ユーザーは徐々にFTTHに移行していくと予想している。

 現在、FTTHは一部のマニアユーザーや集合住宅への普及が中心だが、導入コストが安くなれば移行したいというDSLユーザーは利用者の3分の1に達するという。一戸建てに導入する場合、約3万円の設備コストがネックになっているが、安くなることで普及スピードが加速することになりそうだ。

 DSLをリードしてきたのはヤフーBBだが、市場がこの予測通りに動くと、同社は曲がり角に立たされることになる。1人当たり収入額が高い先進的なユーザーを満足させ続けることができるか、NTT東日本およびNTT西日本がどんなBフレッツ移行キャンペーンを打ち出してくるかなどがカギになりそうだ。

 一方、移動体通信市場は、02年度末で7566万契約者に達している。これが08年度末には9210万契約にまで拡大すると予測した。ただ、携帯電話の1人当たり利用料金は低下を続けており、かつての月平均1万円から今年は6000円程度に減少している。現在の7兆円市場を維持できるかどうかは、この利用料金低下に歯止めをかけられるかどうかにかかっている。

 専用線市場は、ダークファイバーとIP-VPN(広域IP通信網を利用した仮想私設専用網)が台頭。従来型の専用線は06年度には現在のほぼ半分の6300億円の市場になり、広域イーサネットは同年度4700億円になると予測した。IP電話の普及が進みつつあるVoIP市場については、①コンシューマ向けは03年度末の約440万人が08年度には1090万人にまで拡大、②企業向けは、中規模以上の企業を中心に段階的に市場拡大が進む、と予測している。
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