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マイクロソフト グーグル買収なるか 成長し続ける検索サイトの行方

2003/11/10 19:37

週刊BCN 2003年11月10日vol.1014掲載

 米有力紙ニューヨークタイムズのウェブサイトは10月31日、米マイクロソフトが検索エンジン大手グーグルと協議を重ねていると報じた。マイクロソフトがグーグルを買収する可能性もあるという。株式公開の話も出ており、いずれにせよ今後グーグルが潤沢な資金を得て影響力を拡大することは間違いなさそうだ。

 報道によると、マイクロソフトとグーグルは過去2か月に渡り、買収を含めた協力体制構築の交渉を継続しているという。一方でグーグルは株式公開に向けた投資銀行などとの協議も継続しているもようだ。

 マイクロソフトがグーグル買収に積極的なのは、検索技術がインターネットビジネスの中核技術になりつつあるからだ。

 検索結果のページにキーワードに関連する広告を表示する「検索型広告」は、登場からわずか2年で15億ドル市場に成長。2007年には70億円市場になると見込まれている。現在、グーグルとオーバーチュアが検索型広告の2強企業だ。また、検索エンジンを使ってウェブページの内容を分析し、内容に沿った広告を表示する「コンテンツ連動型広告」も高い評価を得ている。

 これまでにウォールストリートジャーナルやニューヨークタイムズ、USAトゥデーといった大手サイトがグーグルを通じて各ページの内容に合った広告の配信を受けている。

 ニュースだけを検索するグーグルニュースも好評だ。見た目はヤフーのニュースページと変わりはないが、ヤフーがニュースを報道機関から購入しているのに対し、グーグルはリンクを張っているだけ。コストがほとんどかかっていない。しかし、ニュース本数の多さや速報性を理由に、ヤフーニュースよりも人気があるようだ。

 ショッピングページに限定したフルーグル(froogle)も、ベータ版ながら高い評価を受けている。検索窓に欲しい商品名を入力すれば、その商品の写真と取り扱いサイト、販売価格を表示する。価格比較サイトは当然ながら取り扱い品目数を誇っていたオンラインショップにとって、大変な脅威となっている。グーグルに対抗するためアマゾン・ドット・コムは、検索技術の子会社A9を自ら発足。対抗技術の開発を急いでいる。

 グーグルはまた、検索キーワードを転送してきたサーバーの情報を基にユーザーの大体の位置を特定し、周辺地域の情報を優先的に表示するサービスも始めた。ピザ屋というキーワードを入力すれば、自分の住む地域のピザ屋のページから表示されるという具合だ。

 これまでパソコン業界がマイクロソフトの技術開発動向から目が離せなかったように、これからのインターネット関連業者はグーグルの技術開発動向から目が離せない状況になる。インターネット産業は、新しい時代を迎えようとしている。(湯川鶴章)
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