ニュース
中国で急速な普及、手軽なネットアクセス 競争激化で訴訟問題に
2003/11/03 19:37
週刊BCN 2003年11月03日vol.1013掲載
ダイレクトアクセスとは、ウェブブラウザのアドレスバーに直接中国語や日本語のキーワードを入力するだけで登録されているサイトにアクセスできるというもの。手軽にアクセスできる点がうけて、現在急速に普及している。
3×7=21、誰にでもできるこの計算をもじって社名にした3721は「中国人でも簡単にインターネットアクセス」を合言葉に、「網絡実名」というブランドでこのサービスを展開し、中国三大ポータルサイトをはじめ、ヤフー中国やMSNとも検索サービスで提携。現在25万社の法人が中国語キーワードを登録、1日延べ3000万人が同サービスを利用しているといわれる。
この牙城に挑むのが、中国のドメイン管理者である中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)や大手検索エンジンの「百度」だ。この両社は最近相次いで3721を起訴、激しい市場争いは訴訟問題にまで発展している。
CNNICは、「通用網址」というサービス名で3721の「網絡実名」と真っ向から対立。その中で、3721側が「誹謗中傷言論」を行ったとして名誉毀損訴訟を起こした。10月20日、その一審判決が下され、CNNICは勝訴。3721はオフィシャルサイト上で10日間の公開謝罪が決定している。
さらに、この両社より遅れて新規参入を果たした百度は、3721が同社のサービス「IE捜索伴侶」のプラグインをブロックしたとして10月23日に知的財産権訴訟を起こし、賠償金100万元を請求。現在その判決待ちの状態である。また今後、3721は代理店の広東交易公司による契約違反行為の訴訟も控えている。
中国では、これまでeコマースやオンライン経済が根づかなかった理由として、英語の企業ドメインに親しみが持てなかったと分析する声がある。このため、このダイレクトアクセスサービスは、中国インターネットの成長過程で重要な要素になり得ると専門家は指摘する。
それだけに各社の争いは激しさを増し、訴訟に至るほど泥沼化している。しかし、これら訴訟を通しても、同市場ではるか先を行く3721の背中を捕らえることは困難で、その市場地位は揺るぎない。
業界筋は、訴訟よりも市場整備が急務であると強調。3721をめぐる一連の訴訟は、中国のインターネット業界が急速な発展を遂げている中で、法整備がそのスピードに追いつくことができないという大きな課題を露出させた問題となっている。(サーチナ・吉田雅史)
- 1